フラット35の審査の甘さが問題になっている?
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- 親カテゴリ: 住宅ローンの基礎知識
- カテゴリ: フラット35
- 作者: 住宅ローン比較
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フラット35の審査の甘さが問題になっている?
「フラット35の審査は甘い」とか、「民間の住宅ローンの審査に通らなかったらフラット35を申し込んでみた方が良い」とか、一般的に審査が甘いことを指摘されているフラット35ですが、平成24年10月19日には会計検査院から「フラット35の住宅ローン審査の甘さ」を指摘されているのです。会計検査院は、国の収入や支出をチェックする国の機関であり、審査の甘さを公に認めたようなものなのです
なぜ、フラット35は審査が甘いの?
実は、これにはフラット35の構造的な問題があります。
一般的な民間銀行の住宅ローンであれば、審査を甘くしてデフォルト率(貸し倒れの割合)が高くなってしまえば、それは直接的に銀行の経営に悪影響を及ぼします。貸し倒れが増えれば銀行の損失が増えてしまうからです。
民間銀行はどの銀行であっても、住宅ローンのデフォルト率(貸し倒れの割合)を下げることを目的としており、デフォルト率(貸し倒れの割合)を下げるために住宅ローン審査の審査基準などを試行錯誤しているのです。
しかし、フラット35は、独立行政法人である住宅金融支援機構が販売している住宅ローンです。独立行政法人というのは、行政から独立はしているものの監督下にあるため、実質的にはフラット35は国の住宅ローンなのです。
フラット35は販売するのは代理販売を委託している民間の銀行や金融機関になります。民間銀行や金融機関は、自社の住宅ローンを販売して貸し倒れになってしまえば大きな損失が発生しますが、フラット35を販売して貸し倒れが起きたとしても、自社の損失にはならないのです。
だからこそ、民間銀行の営業マンは、自社の住宅ローン審査に通らないお客さんにフラット35をすすめるのです。「どうせ審査に通らないのであればフラット35を販売して販売手数料で売上を稼ぎたい。」と考えるからです。
実際に虚偽の申告でも融資を受けられたり、借入後すぐに返済不能になったり、問題が多発しています。無職や別人名義でも、勤務先の在籍確認を怠って融資をしてしまっている金融機関もあるということが会計検査院から指摘されているのです。。39の金融機関を調査して、各々の審査に甘さのある点が見受けられたとのことです。
「じゃあ、住宅金融支援機構がしっかり審査すれば良いのでは?」
と思うのですが、住宅金融支援機構は国の機関なので、お役所仕事になってしまっているのです。
お役所仕事ですから、重要なのは借りる方の返済余力や信用力ではなく、フラット35の技術基準に適合しているかどうか?になってしまいます。審査をするノウハウ自体も持っていないのです。
結果として、貸し倒れが増加し、住宅金融支援機構の損失が膨らむ状況で会計検査院からの指摘が入る事態となったのです。
このままフラット35の審査が甘い状況が続くとどうなる?
フラット35、金融支援機構の経営が悪化し、金利を引き上げざるを得なくなってしまいます。これは、悪質な借り入れをしない一般の住宅ローンを検討している人にも大きな問題でしょう。
今後は、各銀行の取り扱うフラット35のデフォルト率も機構側がチェックし、デフォルト率の大小によって銀行がもらえる手数料が変動するような仕組みを導入することが求められています。
2016年現時点では
返済負担率の厳格化
- 400万円未満 30%以下
- 400万円以上 35%以下
融資率(自己資本比率)に応じた金利の使い分け
- 融資率90%超(自己資金1割未満) は、融資率90%以下と比較して金利が0.44%高くなる
が導入されています。