住宅ローンの頭金は繰り上げ返済に回した方が返済額が安くなる!?
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- カテゴリ: 住宅ローン返済計画
- 作者: 住宅ローン比較
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住宅ローンの頭金は繰り上げ返済に回した方が返済額が安くなる!?
「住宅ローンの頭金は多くした方が総返済額は安くなるんじゃないの?」
たしかにその通りなのですが、そうでもないケースもあるのです。ここでは「住宅ローンの頭金は繰り上げ返済に回した方が返済額が安くなる!?」という不思議について解説します。
質問
3500万円の住宅を購入する際に500万円の貯金があります。諸費用は考えないものとして、500万円は頭金として使った方が良いのか?頭金ではなく自分で持っておいて繰り上げ返済に使った方が良いのか?どちらが総返済額が安くなるのでしょうか?
A:500万円を頭金にして3000万円の住宅ローンを組む
B:100万円を頭金にして3400万円の住宅ローンを組み、毎月2万円を200か月繰り上げ返済する
C:頭金はなしにして3500万円の住宅ローンを組み、毎月2万円を250か月繰り上げ返済する
「えっ、これって早く元金を減らした方が有利なはずだからAじゃないの?」と思う方は間違ってはいないのですが、結果はこうなります。
プラン | A | B | C |
---|---|---|---|
物件価格 | 3500万円 | 3500万円 | 3500万円 |
ケース | 500万円を頭金にする | 100万円を頭金にして400万円を月2万円ずつ期間短縮型の繰り上げ返済 | 頭金をなしにして500万円を月2万円ずつ期間短縮型の繰り上げ返済 |
借入額 | 3000万円 | 3400万円 | 3500万円 |
返済期間 | 35年 | 30年7ヶ月 | 29年9ヶ月 |
借入額 | 30,000,000 | 34,000,000 | 35,000,000 |
利息 | 5,567,795 | 5,207,786 | 5,268,406 |
支払合計 | 35,567,795 | 39,207,786 | 40,268,406 |
頭金 | 5,000,000 | 1,000,000 | 0 |
頭金込支払合計 | 40,567,795 | 40,207,786 | 40,268,406 |
100万円だけ頭金にして、余った400万円を毎月2万円ずつ200か月(16年8か月)期間短縮型の繰り上げ返済をするのが一番総返済額が安くなるのです。
しかも、完済までに期間が短くなるので、一石二鳥。「B」の返済方法を選んだ方が良いですよ。となるわけです。
しかし、これはなぜなのでしょうか?
理由:「期間短縮効果 > 元本を先に減らす効果」
繰り上げ返済を期間短縮型で行うというのが今回の返済プランの最大の特徴です。
元本が早く減れば減るほど、利息は減るのは間違えありません。だから、頭金を多くした方が総返済額が安くなるのです。
しかし、今回の試算では、期間短縮型の繰り上げ返済をしたことにより、返済期間が短くなっているのです。
返済期間が短くなる = 借入期間が短くなる = 利息が少なくなる
ので、頭金に500万円を入れて、35年きっちり返済するケースよりも、4年~6年ほど返済期間を短縮できたために、「B」の方が頭金込の総返済額が安くなっているのです。
つまり、
期間短縮効果 > 元本を先に減らす効果
期間短縮効果が元本を先に減らす効果を上回ったということになるのです。
このバランスは微妙なラインであり「B」と「C」で比較すると「B」の方がやや総返済額が安くなる結果となっています。
さらに上記の表には意図的に記載していませんが、毎月の返済額は
プラン | A | B | C |
---|---|---|---|
繰り上げ返済がないときの毎月の返済額 | 84,686 | 95,977 | 98,800 |
となり、BやCのプランの方が毎月の返済負担は大きいというデメリットもあるのです。期間短縮型で繰り上げ返済をした分、毎月の返済額は増えているのです。
結果から返済方法の考察
実際に今回のようなケースが起きた場合にはどう選択すると良いのでしょうか?
「35年間、毎月のローン返済額を抑えて返済していきたい」
→ 「A」のプランで500万円を頭金に支払ってしまう方法を取る
「500万円の貯金を手元に少し残しておきたい。不安」
「毎月の返済額が増えても、総返済額を安くしたい」
→ 「B」のプランで100万円を頭金に支払い、残りの400万円は繰り上げ返済する
「最大限に総返済額を安くしたい」
→ 500万円を頭金にした上で、返済期間を短くする
という返済方法を選ぶことができるのです。
「B」のプランが優れているのは、16年8か月間は現金を手元に残しながら生活ができるという安心感があり、かつ総返済額も安くできるということです。
貯金のすべてを切り崩して、貯金ゼロになっても、頭金を増やすという考え方をするのであれば、「B」のようなプランを選択して、万が一のときにも対応できる余地を残しておくことも、考え方によっては住宅ローン返済の賢い方法なのです。