日銀の量的金融緩和は住宅ローン金利を引き下げる
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- カテゴリ: 住宅ローン金利比較
- 作者: 住宅ローン比較
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日銀の量的金融緩和は住宅ローン金利を引き下げる
日銀は2014年5月21日金融政策決定会合を開き、黒田東彦総裁は「物価安定の目標は消費者物価の前年比上昇率で2%。その実現のため強い決意を持って、量的質的金融緩和を推進していく所存だ」と話しました。
では、この日銀が行う量的質的金融緩和は住宅ローン金利にどのような影響を与えているのでしょうか?
量的質的金融緩和って、そもそも何?
日銀HPによると
「量的・質的金融緩和」とは、日本銀行が、2013年(平成25年)4月4日に導入した政策です。日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を実施しています。現在実施している具体的な内容は以下の通りです。
- マネタリーベース・コントロールの採用
- 長期国債買入れの拡大と年限長期化
- ETF、J-REITの買入れの拡大
とあります。
マネタリーベース・コントロールとは、日本銀行が供給する通貨を増やす、市場に出まわるお金の総量を増やすという政策であり、流通するお金の量が増えれば、必然的にインフレになることを狙っています。
じゃあ、どうやって日本銀行が供給する通貨を増やすのか?というと投資家が持っている長期国債を買うことによって、行っているのです。
簡単に言えば、量的質的金融緩和というのは、投資家が持っている国債を日銀が買うことで市場にお金を出回らせて物価を上昇させる政策と言えます。
量的質的金融緩和=国債買い入れと住宅ローン金利の関係
通常、日銀が国債を買うとどうなるのか?というと
- 日銀が国債を買う
- 買い手の方が売り手よりも多くなる
- 国債の価格が上昇する
- 価格が上昇する=買い手が多い=国債の利回りは下がる(金利は下がる)
- 国債の金利が下がると住宅ローンの10年以上の固定金利も下がる
という流れになります。単純に買い手が多ければ、国債の金利は低金利でも買い手がいるということなので、国債金利は低下するのです。10年物の国債金利は10年以上の住宅ローン固定金利と連動するので、結果として住宅ローン金利も低下するということになります。
2013年4月から行われた量的質的金融緩和と国債金利の推移
上記のグラフを見ると量的質的金融緩和によって、国債金利が徐々に下がっていったことが実証されています。
ただし、実は量的質的金融緩和が投入された直後は、国債金利は急上昇したのです。
これには別の理由があります。アベノミクス、量的質的金融緩和が発表されたことで、円高から円安に流れ、株価が急上昇しました。そこで、不景気に強い安全な投資先である国債を持っていた投資家が、株式投資に資金を投入すべく、みんなで国債を売りに出たのです。そのため、本来は日銀の国債買い入れによって「買い手の方が売り手よりも多くなる」はずが、逆の「売り手の方が買い手よりも多くなった」のです。その結果、国債金利は逆の上昇に転じる結果となったのです。
しかし、直近1年間の国債金利の推移を見ればわかるとおり、これは一過性の現象であり、日銀の量的質的金融緩和によって、国債金利が徐々に下がっているのです。
まとめ
日銀が量的質的金融緩和をやっている限り、国債金利は低金利の状態が続き、住宅ローンの10年以上の固定金利も低金利の状態が続くのです。
当然、消費税増税10%の景気減が回復するまでの数年間は日銀はこの量的質的金融緩和を続けることが予測されますので、ここ2、3年は低金利の状態が続くことが予想できるのです。
それ以降は景気が本当に回復しているか?どうかによって住宅ローンの変動は変わってきますが、当面の金利は低金利の状態が続くのではないでしょうか。
だとすると、住宅ローンを検討する方にとっては、当初2年固定、当初3年固定などの手堅い期間だけの金利タイプはあまりおすすめできないということになります。量的質的金融緩和終了後の金利動向を見極めて、変動金利か、10年以上の固定金利を決めるべきでしょう。