2014年住宅関連の税制改正まとめ
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- 親カテゴリ: 住宅ローンの基礎知識
- カテゴリ: 住宅ローンと税金
- 作者: 住宅ローン比較
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2014年住宅関連の税制改正まとめ
2014年度(平成26年)の税制改正がすでに発表されています。今回は、2014年度の税制改正のポイントを整理しました。
1.新築住宅の固定資産税の減額措置【延長】
- 目的:住宅取得の負担軽減
- 背景:30代のサラリーマンの平均年収の減少
- 内容:
一般住宅は3年間、税額を2分の1に減額
中高層住宅は5年間、税額を2分の1に減額 - 期限:2016年3月31日
2.老朽化マンションの建て替え促進【新規】
- 目的:マンションのストックの有効活用
- 背景:マンションストック590万戸のうち古い耐震基準の対象は106万戸と約2割は建て替えが必須
- 内容:
[売る人]
区分所有者が組合に当該区分所有権を売り渡す等の場合の長期譲渡所得に係る軽減税率、譲渡所得の1,500万円特別控除
譲渡利益金額の5%追加課税分の適用除外、事業用資産の買換特例等(所得税・住民税・法人税等)
[建て替えをする人]
組合の事業手続における区分所有権等の移転に係る課税の特例(登録免許税、不動産取得税)
組合の行う非収益事業に対する課税の特例(法人税、消費税、事業税、事業所税)
3.認定長期優良住宅に係る特例措置【延長】
- 目的:良質な住宅ストックの増加
- 背景:環境問題やエネルギー問題の深刻化
- 内容:
[登録免許税] 税率を一般住宅特例より引き下げ
所有権保存登記:一般住宅特例0.15%→0.1%
所有権移転登記:一般住宅特例0.3%→戸建て:0.2%、マンション:0.1%
[不動産取得税] 課税標準からの控除額を一般住宅特例より増額:一般住宅特例1,200万円→1,300万円
[固定資産税] 一般住宅特例(1/2減額)の適用期間を延長:戸建て:3年→5年、マンション:5年→7年 - 期限:2016年3月31日
4.住宅の買換え等の譲渡所得課税の特例措置【延長】
- 目的:住宅買い替え、中古住宅流通の強化
- 背景:住宅売却では約8割で売却損が発生
- 内容:
住宅の住替え(買換え)で譲渡損失が生じた場合
買換資産に係る住宅ローン残高がある場合は、譲渡損失額を所得金額の計算上控除
譲渡資産に係る住宅ローン残高が残る場合は、住宅ローン残高から譲渡額を控除した額を限度に所得金額の計算上控除(以降3年間繰越控除) - 住宅の住替え(買換え)で譲渡益が生じた場合
譲渡による収入金額が買換資産の取得額以下の場合は譲渡がなかったものとして課税
譲渡による収入金額が買換資産の取得額以上の場合は、その差額分について譲渡があったものとして課税 - 期限:2015年3月31日
5.中古住宅流通・リフォーム市場の拡大【新規】
- 目的:中古住宅流通・リフォーム市場の拡大(10兆円(2010年)→20兆円(2020年))
- 背景:リフォームの割合がドイツ76.8%に対して日本は27.9%と少ない
- 内容:
買取再販に対する登録免許税及び不動産取得税の非課税措置の創設
中古住宅取得後に耐震改修工事を行い入居する場合において、売主からの情報提供を受けた上で、耐震基準への適合が確実であることにつき国土交通大臣による認定を受けた場合、耐震基準に適合した中古住宅を取得した際と同様に、所得税・個人住民税・贈与税・登録免許税・不動産取得税の特例措置の適用を可能とする。
まとめ
多少わかりにくい税制改正ですが、大きなポイントは、新規に建てられた「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大」に関する改正と言っていいでしょう。それ以外は、消費税増税に関する住宅ローン減税などが昨年決まったことなどもあり、比較的おとなしい、延長が多い無難な税制改正大綱だと言えます。
「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大」では、簡単に言えば、今までは中古住宅を購入した際に住宅ローン減税などの適用条件に耐震基準満たしていない場合は、住宅ローン減税をはじめとして特例が受けられなかったのです。しかし、今回の改正によって、購入後、耐震基準に則した耐震改修を行った場合に後からでも住宅ローン減税の優遇が受けられるというように変わったのです。
また、中古住宅を購入して、リフォームして再販する「リノベーション」という販売手法をとる業者が年々増加しているのですが、この買取業者の登録免許税及び不動産取得税を非課税にする制度がつくられます。つまり、「リノベーション」による中古住宅が市場に出てくる数が増える年だと考えられます。また税金が軽減された分、リフォームされた再販の中古住宅の価格も下がる可能性があるため、住宅購入の選択肢で「中古住宅」の存在感が一層高まるのが2014年と言っていいでしょう。今から住宅購入を検討している方は中古住宅も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。