住宅ローンに保証会社が存在する本当の理由。利益の二重取り?
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- カテゴリ: 住宅ローン特集
- 作者: 住宅ローン比較
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住宅ローンに保証会社が存在する本当の理由。利益の二重取り?
住宅ローンでも、大手都市銀行(メガバンク)、地方銀行の住宅ローンには「保証料」というものが発生します。
この「保証料」は金利に0.2%上乗せというものがほとんどですが、これは総返済額で考えると100万円~200万円ほどの費用負担になるため、大きな負担なのです。
では、ネットバンクにはないこの「保証料」というのはなぜ存在しているのでしょうか?
保証会社と保証料の関係
住宅ローンを提供している銀行の中でも、大手都市銀行(メガバンク)、地方銀行の場合は基本的に保証会社を使って、住宅ローンを提供しています。
保証会社は、銀行が住宅ローンで融資をした利用者が約束通りに返済ができなくなった場合に残りのローン残高分を利用者の代わりに返済する義務を負っているのです。これを「代位弁済」と言います。
「代位弁済」が行われれば、債権は肩代わりした保証会社に移行し、延滞していた利用者は銀行ではなく、保証会社から残債の支払い請求を受けることになるのです。
保証会社はこの「貸し倒れリスク」を持つ代わりに、保証料を銀行から受け取っているのです。
これが「保証会社」というものの基本的な役割です。
保証会社は銀行のグループ会社?
下記は、ネットバンクを除く主要な住宅ローンの保証会社です。
- みずほ銀行 → みずほ信用保証
- 三菱UFJ銀行 → ダイヤモンド信用保証・三菱UFJ住宅ローン保証
- 三井住友銀行 → SMBC信用保証
- りそな銀行、埼玉りそな銀行 →りそな保証
- 横浜銀行い → 横浜信用保証
と見ておわかりのとおりに銀行と同じような名前の保証会社になっています。これは何を意味するかと言うと銀行と同じグループの子会社に保証会社があり、その保証会社を銀行は利用しているということなのです。
ここで疑問を感じるのは・・・
「保証会社が貸し倒れリスクを追っていて、住宅ローン審査も保証会社が行っていて、そのために保証料を支払っているのであれば、銀行が審査をして、貸し倒れリスクを追ってくれれば保証料はいらないのではないか?」
「保証人の代わりに保証会社があるのであれば、保証人を立てれば、保証料は必要ないのではないのか?」
ということですが、実際にはそうはなっていないのです。
なぜ、保証会社というものが存在しているのでしょうか?
理由その1「利息と保証料の2重取りをグループ内でしたいから」
そもそも、住宅ローンには利息があるため、これが銀行の収益になるのです。しかし、保証料を別建てにしておけば、これも銀行の収益になります。
「利息」も「事務手数料」も「保証料」も同じ銀行が利益として取得してしまえば、対外的に住宅ローンに関して銀行が儲けすぎだと批判を受けてしまうので
別の子会社を作って、役割(機能)を分けて、「保証料」が発生するのを当然のこととして住宅ローンを提供しているのです。
連結子会社であれば、どちらの利益も結局は同じグループ会社の決算で報告されるので、別会社にして利益を多く出した方が良いという考えのもと行われているのです。
理由その2「イメージが悪くなるから」
住宅ローンが一定期間返済されなければ、「代位弁済」が行われます。「代位弁済」後は銀行ではなく、保証会社から支払いの督促が行われるのです。
それでも返済がされなければ、裁判所の競売にかかることになり、マイホームは自動的に売却されます。
競売をするときに「○○銀行」という名前で行っていると・・・この銀行は取り立てばかりやる銀行だと評判やイメージが悪くなってしまうため、スケープゴートとして子会社の保証会社が行うことになるのです。
理由その3「銀行本体のリスクを減らすため」
保証会社がない場合には、銀行が貸し倒れリスクを取ることになります。銀行が貸し倒れリスクを取るということは、貸し倒れが多く発生すれば、それが大きな損失になってしまうのです。
万が一、貸し倒れが多く発生して経営が傾いて倒産ということになると、銀行は他の事業も多く手掛けている巨大企業であるため、ダメージが大きいのです。
仮に保証会社が貸し倒れが多く発生して倒産したとしても、倒産によって受けるダメージは住宅ローンの保証事業だけなので、別の保証会社を作るだけで済むのです。
保証会社の仕組みが崩れつつある!
上記のように「利益を多く取りたい」「銀行本体のリスクを減らしたい」「イメージを守りたい」・・・という理由で銀行は保証会社を子会社に作り、住宅ローンを提供しているのです。
しかし、ネットバンク・外資系銀行を中心に「保証会社を使わずに自社で審査をするのが普通なのでは?」「その方が顧客に対して低価格で住宅ローンを提供できるのでは?」という考えで、保証会社を使わない銀行が増えてきているのです。
ほとんどのネット銀行では、住宅ローンは保証会社を使わずに自社で審査をしているのです。そのため、金利+0.2%というような保証料は発生せず、その代わりとして自社で審査をする手間賃として事務手数料が高めに設定される形を取るようになっているのです。
事務手数料が高くなったとはいえ、保証料の金利+0.2%上乗せと比較すると2分の1~3分の1以下の費用負担になるのです。
保証会社による利益の二重取りが通用しなくなっていると言えます。徐々に住宅ローンを選ぶ方がこれに気付いて、大手都市銀行や地方銀行よりもネットバンクの住宅ローンに流れているのです。
ただし、ネットバンク・外資系銀行のように自社で貸し倒れリスクを負って住宅ローン審査を行うようになると、その分審査は厳密になっているようです。デメリットもあることを覚えておきましょう。