ゆうちょ銀行の影響。人気のフラット35に予算縮小の懸念あり
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- カテゴリ: 住宅ローン比較最新ニュース
- 作者: 住宅ローン比較
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ゆうちょ銀行の影響。人気のフラット35に予算縮小の懸念あり
2012/7/25 ZAKZAK
庶民の住宅取得を支援する住宅金融支援機構の長期固定金利住宅ローン「フラット35」の改革案が俎上に上っている。商品設計の根幹である証券化の仕組みを、従来の「買取型」から「保証型」中心に見直すもので、「フラット35」の供給量の縮小につながらないか危惧されている。
住宅金融支援機構は、旧住宅金融公庫が特殊法人改革で廃止されたのを受け、2007年に設置された独立行政法人で、住宅ローン債権の証券化業務を通じて低利で長期固定の住宅建設資金などを供給している。その主力商品が期間35年の住宅ローン「フラット35」で、10年度の1年間で、約2兆8200億円を新規融資している。
その仕組みは、「フラット35を取り扱う金融機関から、同債権を買い取り、それを担保として債券(MBS=住宅ローン担保債券)を発行することで、長期の資金調達を行い、民間金融機関による長期固定型住宅ローンの提供を支援する」(住宅金融支援機構)もの。しかし、ここにきて民間金融機関も独自に期間35年の長期固定型の住宅ローンの取り扱いを開始するなど、「両者が競合する局面が多くなってきている」(メガバンク)という悩ましい問題も抱えている。
民間金融機関の資金調達は、主として預金による短期資金や社債などであることから、機構と同じように35年にわたるような長期固定の住宅ローンを供給することはALM(資産・負債総合管理)上容易なここではない。しかし、企業の資金需要が低迷する中、各金融機関は貸し倒れリスクが低い優良な資金需要先として長期の住宅ローンに力を入れており、「従来の住宅金融支援機構との棲み分けが崩れつつある」(メガバンク)のも事実である。
こうした中、内閣府行政刷新会議の「住宅金融支援機構の在り方に関する調査会」は6月27日に報告書をまとめた。同報告書では、「民にできることは民で」という民業補完の原点に立ち、住宅金融支援機構の証券化業務の在り方について、「民業補完の視点を踏まえ、(1)証券化支援業務の保証型の活用(2)機構MBSの商品設計の見直しを行うことで、民間によるMBS発行を促し、機構MBSに偏らないMBS市場の成熟化を目指す」とされた。
「フラット35」など証券化に伴い住宅金融支援機構が発行したMBSの残高は10兆円を超えているが、民間金融機関発行のMBSは4・7兆円程度にとどまっている。これは機構の証券化業務が「買取型」が太宗を占めるためで、これを民間金融機関がMBSを発行し、それを機構が保証する「保証型」中心にシフトしていくべきとの指摘である。このため機構の保証審査の見直しも提案されている。
だが、この変革が「フラット35」の市場縮小につながる可能性もある。かつて旧住宅金融公庫は、郵貯資金を原資とする財政投融資を通じて潤沢な住宅資金を供給してきた。その郵貯が民営化したゆうちょ銀行は、今まさに住宅ローン市場への参入を検討している。「フラット35」の縮小は、ゆうちょ銀行の「住宅ローン参入に向けた露払い」(関係者)といううがった見方も浮上している。
住宅ローン比較ラボ編集部コメント
確かに、フラット35の存在感は、2012年に入って時に薄れてきているようだ。フラット35の商品性に関するものではなく、各民間金融機関が出している1%を切る変動金利プランの利用が半分以上を超えるなど、そもそも、変動金利より1.数%高い固定金利の存在価値が、不景気から当分のあいだは金利上昇はないと思われる昨今弱まってきているのだ。
その中で、各金融機関から同様の長期固定金利プランが出てくるのであれば、存在価値はより一層弱まってくる。独立行政法人としての役割はよりフェードアウトの方向へ向かい、住宅ローン減税や民営化したゆうちょ銀行が主役になり、民間金融機関とともにサービスの強化を実行するというのは、わからなくもない方向性だ。
ただし、ニュースソースとして夕刊新聞の記事であること、とはいえど、、、フラット35の利用者・融資額は巨大なことを考えると、ここ2,3年で大きく変わるものではなく、徐々にそうなっていく程度のことであろう。
住宅ローンを選択する際には、商品設計やバックボーンのことは度外視して、自分の環境や意向にあった返済プランを組める住宅ローンか、いなか、といったことのみを追求すべきだと思われる。