住宅ローン金利はこのまま下がり続けるのか?
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- 作者: 住宅ローン比較
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住宅ローン金利はこのまま下がり続けるのか?
2012/8/8 @DIME
銀行が提供する住宅ローン金利の低下が続いている。7月31日には、みずほ銀行と三井住友銀行が、固定型の住宅ローン金利を引き下げると発表。8月1日から、0.05%〜0.1%の幅で、各期間の固定型ローンが引き下げられている。これによって、メガバンクの住宅ローン金利は、ほぼ横並びとなり、変動金利型で0.875%、期間10年の固定金利型で1.35%という超低金利状態となった(※実際の貸出金利は各金融機関の審査状況によって変わることに注意)。
金利低下の背景には、銀行の運用難がある。国内のデフレ状況にあっては、企業の投資は増えず、手元資金も豊富にあることから、企業の金融機関からの借り入れは縮小する一方だ。そのため、銀行は国債への投資をずっと増やし続けてきたが、長期金利の指標となっている10年物国債の利回りは、0.8%を割り込み0.73%まで低下してきた(8月3日時点)。
メガバンクの資金調達コストは、0.85%程度と見られている。したがって、0.7%台の国債で運用していては利益が出なくなりつつある。これ以上、債券投資についても、増やしにくい状況が生まれているのだ。そこで、少しでも利ざやが稼げる(=利益が出せる)、個人向けの住宅ローンを増やさなければならなくなっている。
■変動金利型の0.875%だと利益が出ない銀行
近い将来、日本の景気が急に力強く回復し、企業の借り入れが増加したり、国債の利回りが上昇するとは考えにくい。現在のデフレによる「超低金利」状況には、ユーロ圏の債務危機も関係しているため、すぐに状況が改善する可能性は極めて低いからだ。となると、住宅ローン金利は、今後ほっといてもどんどん下がっていくような気になってしまうが、どうだろうか? 実は、その可能性も低いと言わざるを得ない。
銀行が個人に住宅ローンの貸出しを実行すると、さきほど触れた資金調達コストと書類などを作成したりする人件費を含む事務経費は、合計しておよそ1%強かかるといわれている。この住宅ローンに関わる銀行側の経費の合計は、当然、メガバンクとネット銀行では変わってくるが、リアルな店舗を有する銀行では、1.2%前後と見られている。つまり、変動金利型の0.875%では、利益が出ない構造となりつつあるのだ。
変動金利型は、今後金利が上昇する可能性があるため、利益が出ない逆ザヤ状態が解消される可能性はある。しかし、固定金利型は、融資期間中は文字通り金利が変わらない。1.2%を下回った金利で貸し出しを実行すると、その期間中は利益が出ない、あるいは銀行の損失が続く、ということになってしまう。したがって、固定期間にもよるが、およそ10年物の固定型住宅ローンの金利は1.2%を下回ることはまずなく、諸条件を考慮すると、現状の1.35%からの低下余地はほとんどないと想定される。
たしかに、銀行が個人に住宅ローンを貸し出すメリットは利ざやだけではない。契約したユーザーが、給与振込口座を設定してメイン銀行として付き合ってくれれば、さまざまな取引が期待できる。将来的に、教育ローンを借りてくれたり、投資信託や各種の保険商品の購入につながることがある。そうした期待があるからこそ、銀行はこれまでローン金利を引き下げてきたともいえる。しかし、逆ザヤのローンをどんどん増やしてまで、その期待に賭けるかというと疑問だ。やはり、現状の金利が最低水準に近いと考えてよいのではないか。
■自分の信用力を早めに探る■
これまで述べてきたように、金融業界では、住宅ローンの金利引き下げ競争が激しくなっているのだが、その反面「借り手の審査を厳しくしている」という声も聞かれる。年収に加え、勤続年数などや雇用形態について、シビアにチャックするようになっているようだ。低金利の住宅ローンを提供する一方、貸出しを実行する人を選別して、貸し倒れを防いでいるわけだ。借り手によって、金利の優遇幅も細かく設定している。
消費税の増税が迫ってくれば、駆け込み的な住宅需要は増加するだろう。現在の銀行の融資行動は、それに備えて手を打ってきている、と言えなくもない。住宅購入を考えているのであれば、早めに自分の信用力を調べて、どのくらいの金利でローンが受けられるのかを頭に入れておきたい。普段、自分が利用している銀行の相談窓口に行くのが近道だろう。
住宅ローン比較ラボ編集部コメント
上記の記事の通り、特に店舗を持たないネット銀行でないかぎり、今の超低金利の住宅ローンは収益性が悪い状況であるのは間違えない。また、貸し倒れリスクを防ぐために審査が厳しくなっているもの書いてあるとおりだろう、これ以上の低金利への過度な期待は捨て、消費増税の前にきちんと住宅購入まで完了できるよう準備を開始するのが得策だろう。