住宅業界は住宅購入時に消費税増税分の還付を
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- 作者: 住宅ローン比較
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住宅業界は住宅購入時に消費税増税分の還付を
2012/8/8 日刊スポーツ
平成25年度の税制改正に向けて、住宅業界から相次いで要望が出されている。いずれも増税が予定されている消費税について、住宅購入者については5%超過分の還付などの踏み込んだ対応を求めている。
■冷え込みが懸念される消費税引き上げ時には還付などの減税措置を
例年年末に、政府の「税制改正大綱」が発表される。この大綱を基に、年明けの国会で来年度の税制改正が決まることになる。この税制改正大綱に盛り込こまれるように、各省庁から「税制改正要望」や「予算概算要求」が公表される。国土交通省は8月末に税制改正要望が公表するので、それに盛り込んでもらうように、各団体が今の時期に税制改正要望をとりまとめているところなのだ。
注目されるのは、民主、自民、公明の3党合意に基づいて衆議院を通過した消費税増税法案。現行の5%を26年4月に8%、27年10月に10%へと段階的に引き上げるものだ。増税前の駆け込み需要とその後の需要の冷え込みが懸念されるなか、住宅購入者に対する減税措置が強く求められている。
これまでも政府は、住宅ローン減税の拡充や省エネ住宅のエコポイント等の案について言及しているが、住宅業界各団体ではこぞって、5%を超えた分を還付するといった踏み込んだ減税措置を求めている。
一般社団法人不動産協会(以下不動産協会)では、消費税率引き上げ時の対応として、「消費税制の枠内で負担軽減措置をビルトインすることが必要であり、例えば、税率5%を超える消費税額を住宅購入者に還付する」ことを求めている。また、不動産取引の際には、消費税のほかに多くの課税がなされているため「不動産取得税の廃止、登録免許税の手数料化、印紙税の廃止」も求めている。
一方、一般社団法人不動産流通経営協会(以下FRK)では、「住宅に係る税が現状より負担増とならないよう、軽減税率や税額還付制度を導入すべき」とし、「住宅に係る消費税については、現在、特例措置はなく、一方で取得時において登録免許税、不動産取得税等不動産流通税と重複課税の現状にあることから、消費税はもとより不動産流通税、住宅ローン減税制度等を含め、住宅税制全体を俯瞰した検討を行うべき」と要望している。
また、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(以下全宅連)でも、消費税率引き上げに伴う住宅取得への配慮として、税率引き上げ分を住宅取得者に還付する制度の創設を要望している。
■期限切れの優遇措置の延長や適用対象の拡大なども
25年度税制改正についてはほかにも、現在優遇措置が続いている住宅税制のうち、期限切れになるものの延長をこぞって要望している。
○期限切れとなる優遇税制
・住宅の登録免許税の特例
・土地の登録免許税の特例
・不動産売買契約書の印紙税特例
・省エネ及びバリアフリー改修促進税制(投資型)
・省エネ及びバリアフリー改修工事に係る固定資産税の減額措置
・Jリート等の登録免許税及び不動産取得税の特例 など
さらに、不動産協会は「予算・制度改善要望」として、住宅エコポイントの延長・拡充やフラット35Sの金利優遇措置の延長・拡充、老朽化マンション建て替え促進に向けた支援なども盛り込んでいる。
FRKが要望したのは、各減税制度の要件となる最低床面積を50㎡から40㎡に引き下げることや、所有者である売主だけでなく、中古住宅を購入した買主が耐震改修を行った場合も住宅ローン減税等の対象とすること、住宅の敷地の液状化の予防・補修工事費用のローン減税の適用など。
全宅連は、各減税制度の要件となる築年数要件を撤廃し、いわゆる「新耐震基準」に適合する建物であれば適用対象とすること、「認定優良既存住宅制度」を創設し、認定住宅の税制優遇を行うことなども要望している。
増税により歳入を増やしたいものの、経済の持続的成長も図りたい日本政府。これらの要望をどこまで吸収していくのか、今後に注目したいところだ。
住宅ローン比較ラボ編集部コメント
住宅、ならびに不動産業界は、景気や雇用に直結するために政府としてもはずせない重点分野だろう。政治家としても地場の票集めのためにもはずせない分野である。過度に心配しなくても、減税の強化などは実施されるだろう。後は記事にあるとおり5%以上の還付をという金額面がクリアになるかの勝負である。