ゆうちょ銀行の住宅ローン解禁へ。人気になる可能性あり
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- 作者: 住宅ローン比較
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ゆうちょ銀行の住宅ローン解禁へ。人気になる可能性あり
2012/9/24 @DIME
今、水面下で住宅ローン業界が揺れている。ゆうちょ銀行が来年3月にも、個人向け住宅ローンの販売を開始する可能性が高まっているからだ。9月3日、ゆうちょ銀行は金融庁と総務相に対して、住宅ローンや企業向け貸し出しなどを含めた新規事業参入の申請をした。その申請が認められれば、早ければ2013年4月にも住宅ローンの販売を始めることができる。
先の8月6日に政府の郵政民営化委員会はゆうちょ銀行やかんぽ生命が事業を拡大することを容認する方針を正式に打ち出していた。今回の申請は、その方針を受けてのもので、容認から約1か月と短期間での申請であり、政府内に大きな抵抗が見られないことから、申請がほぼそのままの形で認可される可能性が高い。つまり、このままいけば、来年4月以降にマイホームを買う人は、住宅ローンの選択肢にゆうちょ銀行を入れられることになる。
すでに、ゆうちょ銀行は住宅ローン業務の一部を手がけている。ゆうちょ銀行はスルガ銀行と提携し、顧客をスルガ銀行に紹介している。この提携は、2008年5月からスタートしており、住宅ローンの仲介実績は2000億円を超えているという。そして、住宅ローン残高2000億円という規模は、地方の中小金融機関をはるかに超える規模でもある。ゆうちょ銀行本体が住宅ローン市場に乗り込むことになれば、さらに販売を伸ばすことが予想され、それが他の金融機関の住宅ローンの顧客を奪うことになるのではないか――これが、ゆうちょ銀行の住宅ローン販売を〝民業圧迫〟として、民間の金融機関が批判する理由だ。
そうした住宅ローン業界の動向は別にして、あらためて、ゆうちょ銀行とスルガ銀行が提携している住宅ローンをみると、これが結構おもしろい。「個人事業主応援型」という個人事業主向けの住宅ローンや、「働く女性応援型」という女性向け住宅ローンがある。さらに「アクティブシニア応援型」という50代向けや、両親の実家の建て替えやリフォーム用の「親孝行応援型」といったローンも販売している。個人事業主(自営業者)や女性、50代シニアといった人たち向けの住宅ローンは、他の金融機関ではまだ取り扱いは少ない分野。住宅ローンにおいてはニッチな分野であり、これが残高の増加に寄与している面もあるだろう。
ローンの内容をチェックすると、金利面での割高感が目立つ。例えば「個人事業主応援型」の場合、変動金利型のみで9月の金利は3.575~6.375%となっている。貸出期間は不明だが、3.575%は短期間としても変動金利型としては高い水準だ。「働く女性応援型Ⅰ」は、変動金利型と固定金利型から選べるものの、変動金利型で2.475~3.275%で、「個人事業主応援型」よりは低い設定だが、他の金融機関と比べるとやはり高い水準である。
ただし、中身には工夫がみられる。「個人事業主応援型」ではオフィス・店舗併用住宅での利用が可能だったり、「働く女性応援型」では担保評価額の100%まで借り入れることができるようになっている。いずれも一定のローン残高があることから、多少金利が高くても借りたいという人がいるということだろう。裏を返せば、既存の住宅ローンは、自営業者や女性、シニア世代は借りにくくなっているのだ。
もしも、来年4月から販売がスタートすることになれば、おそらく、当初はスルガ銀行で販売されているような、ニッチな住宅ローンの品揃えとなるのではないだろうか。民業圧迫という批判をかわしつつ、ラインアップを充実させていくことが予想される。だが、ニッチ商品といっても、すでに述べたように潜在的なニーズはありそうだ。消費税増税が現実味を帯びる中で、「増税前に買いたいけれど、ローンが借りれないからなぁ」と、マイホームをあきらめかけている自営業者や女性、シニア世代にとっては、魅力的なローンとなるかもしれない。
ゆうちょ銀行の住宅ローン参入は、最も競合するであろう地方金融機関にとっては、間違いなく大きな脅威になるかもしれないが、消費者にとっては選択肢が増えることになるので、今後の展開に期待が持てそうだ。
住宅ローン比較ラボ編集部コメント
ゆうちょ銀行の住宅ローン参入が、メディアを騒がせているが、実際にすでにゆうちょ銀行とスルガ銀行が提供している住宅ローンで、サービスの想定はできるだろう。
「個人事業主応援型」、変動金利型のみで9月の金利は3.575~6.375% オフィス・店舗併用住宅での利用が可能
「働く女性応援型Ⅰ」は、変動金利型と固定金利型から選べるものの、変動金利型で2.475~3.275% 担保評価額の100%まで借り入れることが可能
金利は高いが、実際に参入が決まればフラット35ほどの低金利になるのではないだろうか。その上で、上記のような事業者向け、女性向け、高齢者向けなどのサービスができてしまえば、やはり既存の金融機関には大きな脅威だろう。