変動金利に偏る住宅ローンに危機感
- 詳細
- カテゴリ: 住宅ローン比較最新ニュース
- 作者: 住宅ローン比較
- 参照数: 3376
変動金利に偏る住宅ローンに危機感
2012/12/15
14日のロイター新聞の記事には、住宅ローンの変動金利中心の現状は大きなリスクをかかえているという内容であった。編集者の見解とも異なる部分があるが参考になるため紹介したい。
まず、変動金利には、知っての通り金利上昇時に返済が滞りやすくなるリスクがあるものの、都内の不動産業者によると、固定金利の返済プランを見て、難色を示していた見込み客が、変動金利型のプランを見て購入を決めるケースが増えているとのこと。
実際に住宅購入時にあまり、住宅ローンのことを考えていない方も増えているのではないだろうか。特に消費増税を武器に、不動産業者も銀行も、住宅購入なら今という販売強化をかけている。その中で、変動金利のデメリットについて詳しく知らないままに月額の返済金額が賃貸にちょっと足せば大丈夫という段階で安易な購入をしてしまう方が増えているのだと思われる。
当サイトでも、紹介している住宅金融支援機構のアンケート結果では、約半数が固定金利型を検討していたが、実際の利用段階になると、2割程度にとどまっている。
もちろん、変動金利のメリットもたぶんに大きいが、金利上昇リスクをどう捉えるかは、意見がわかれるところ。実際には、景気向上により金利が上がった場合には、給与も同時に上がっているために、返済額の負担は少ないという見方もできれば、それ以上に高齢化が続く日本のGDPの成長は落ち込み、返済額の負担は大きくなるという見方もできる。
オススメなのは、変動金利であれば、リスクを軽減すべく、繰上げ返済を活用し、固定金利と同額分を早期に返済し、返済期間を短縮しておくことである。この方法であれば、金利上昇リスクを当初の数年間に固定できるだろう。逆にあまりおすすめできないのは、当初固定金利である。最近、銀行は当初固定金利推しのところが増えてきているが、これは一番金利上昇リスクのない期間だけ金利が固定され、金利上昇のリスクの高い10年以上後には今よりも高い変動金利という商品設計である。これでは、利用者のメリットは非常に少ないといわざるを得ない。
また、この記事では、金融庁の監視についても語られている。住宅は一生に一度の買い物であるため、経験則がなく、金利上昇のリスクがイメージしにくいという側面があり、金利上昇のリスクは気にしていても、当面は上昇しないとの思い込みも根強い。しかし、金利が変動した際にダメージを受けるのは利用者だけでなく、銀行側も債務不履行デフォルトが多数起こってしまえば、銀行経営に大きな影響を与える。しかし、銀行側は住宅ローンは、教育ローンや資産運用の窓口としての商品の意味合いも強いため、販売競争から手を引くわけにはいかず、さらなるサービス強化をすすめたり、審査を甘くするとのこと。そのため、金融庁は、住宅ローンの審査の監視を強化しているらしい。
利用者からすれば、サービス強化や審査が甘くなるのは、渡りに船だが、急激な金利上昇が起こるのは避けたいところ。金利上昇が起きても、リスクが回避できる、リスクを減らせる方法をきちんと把握して、堅実な返済計画を組み立てることをオススメしたい。間違っても、新築のモデルルームを見て、テンションがあがって購入だとか、変動金利での住宅ローンの月々の返済額だけを見て購入するとか、安易な判断はせずに、複数の住宅ローンの情報を仕入れてじっくり検討しましょう。