2013年、住宅ローンの行方
- 詳細
- カテゴリ: 住宅ローン比較最新ニュース
- 作者: 住宅ローン比較
- 参照数: 10144
2013年、住宅ローンの行方
2013/1/7
2013年、大きな変化が起こる年である。米中韓での首相選挙や日本での政権交代から安倍内閣の誕生した。日本経済に関しては、政権交代後、円安や、株価の回復、インフレターゲットの発表など、期待のもてる兆しがでてきているが、これを成長軌道にのせられるのか、どうか?が安倍内閣の大きな壁といえるだろう。
住宅不動産市場は、13年度予算に大きく依存するといっていいだろう。1月中盤から、13年度予算・税制改正の論議が本格し、消費増税への対策、住宅ローン減税の拡充など、不動産市場の活性化のために、様々な変化の方向性が決まってくるだろう。
特にウェイトの大きい、消費増税への対策は、3党合意時に「13年度以降の税制改正及び予算編成の過程で総合的に検討すること」と「8%への引き上げ時及び10%への引き上げ時にそれぞれ十分な対策を実施すること」という形でまとまっている。具体的に”十分な対策”をどうするのか?が焦点に決まってくるのが、1月から2月にかけてである。
もちろん、不動産業界の業者側は、住宅購入者への負担を軽減する目的で、消費増税の増税分を還付することを求めている。住宅ローン減税では、所得税の減税になるため、所得に連動し、減税分を確実に消化できているか、というとそういうわけではない。減税ではない、確実に増税分の負担を回避できる実行策を要求している。もう、すでに昨年末から住宅市場は、2~3割増の駆け込み需要が起こり始めている。このまま、駆け込み需要が起こってしまえば、地デジ化のテレビ業界と同じ表に、反動の景気落ち込みが確実視されている。政府も、自民党になり、不動産市場が景気に与える影響が大きいことは嫌というほど知っているため、業界側の要望に近い形で予算編成や政策協議も進むと思われる。
さて、住宅ローンはどうなるのだろうか?昨年末から、各銀行ともに10年当初固定の金利を大幅に引き下げ、今まで変動金利一点突破で住宅ローンの残高拡大を推し進めていたところから、変化が見られる。特に安倍内閣の景気対策によって、年末多少なりとも、円安や景気回復の兆しが見え、1月の実行金利は、大手都市銀行は引き上げにはいった。利用する消費者側の心理も、景気回復は難しいという読みと超低金利から、変動金利メリットが大きい、と考えていたところから、もしかしたら、金利がすぐに上がってしまうのではないかに変わってきていると思われる。その場合、最低でも10年間引き下げてもらえるほうが安心。と消費者心理の変化も見逃せない。
また、ゆうちょ銀行の住宅ローン参入が4月をめどに進んでいる。これも、業界に大きな変化をもたらすだろう。すでに、銀行側の目線に立つと、あまり利益がとれない金融商品になってしまっている住宅ローンだが、現物担保があるリスクの少ない金融商品として、拡大路線を中止することはできないだろう。とはいえ、金利低下競争は企業としてもう限界である。つまり、SBI新生銀行のように住宅ローンという商品自体に新たな付加価値をつける商品バリエーションの拡大が起こってくるのではないだろうか。選ぶ側にとっても、金利だけで判断できない、より住宅ローンへの深い理解が必要な年になってくるだろう。
金利の動向を気にされる方が多いが、実際に、安倍内閣の思惑通りに、インフレターゲットで物価が上がっても、給与が上がるまでは大きなタイムラグがあるだろう。その時には、住宅の価格も上がってしまっているのである。であれば、早めの判断が求められるといっても過言ではない。しかし、駆け込み需要が起こりそうな時期は、不動産業者から言えば、売り手市場になってしまい、住宅の価格が上がるのである。
編集者の個人的見解で言えば、需要と供給のバランスが自動的に調整されるため、あまり、時事的ネタに踊らされて住宅購入を検討するのではなく、本当にいい、自分の気に入った物件を探すスタンスの方が将来的にも得られるメリットは大きいと思われる。間違っても、不動産業者の「これからすぐに金利が上がるので、今しかないですよ。」「みんな今買ってますね。」などという甘い誘惑に負けて購入を決めて、後悔はしないでもらいたい。