住宅ローン金利動向 2018年3月レポート

住宅ローン金利動向 2018年3月レポート

住宅ローンの金利動向・金利推移をまとめた毎月のレポートです。住宅ローンを検討している方は参考にしていただければ幸いです。

主要住宅ローンの2018年2月から2018年3月の金利変動

• 10年もの国債金利（長期金利）は低下
• 10年以上の固定金利も横ばい、低下
• 米国株が史上最大の下げ幅を記録
• イオン銀行が借り換え向けの特別金利を提供開始
• ソニー銀行が変動金利を引き下げ

10年もの国債金利（長期金利）は2018年2月1日時点で0.095％でしたが、2018年3月1日時点で0.055％と国債金利は0.04％低下しました。

国債金利は、買い手が多くなれば金利が低下します。日本国債が買われるときというのは「リスクオフ」つまり、世界の投資家が緊急避難をするときに行われるものです。

今回は、2月5日に米国株式が史上最大の下げ幅を記録しました。ダウ工業株30種平均は大幅に続落し、1175ドル21セント（4.6％）安の2万4345ドル75セントです。この要因は、雇用統計などの指標が良すぎてしまったことで、今後の利上げペースが加速することの警戒感で、利益確定の「売り」が広がったことに起因します。

利上げペースが加速すれば、米国企業の資金調達コストが増加し、景気が停滞することが予想されるため、投資家は資金を引き上げたのですが、その資金の向かい先が「日本円」や「日本国債」になるのです。

結果として、円高が加速し、日本国債も低金利の方向に向かったということになります。3月5日現在では、いったんこの動きは収束に向かっているものの、国債金利は前月対比で低下しているため、住宅ローン金利も低下しました。

また、住宅ローンを選ぶ上で注視しておくべきことは、日銀の黒田総裁が再任される可能性が高くなったということです。日銀が国債買い入れを停止する、弱めることがあれば、急激に金利が上昇するリスクがありますが、一旦その可能性は低くなったと考えて良いでしょう。

ただし、米国株安の原因にもなっているように米国は金利をどんどん引き上げています。欧州もこれに続いています。日本だけがゼロ金利に近い金利政策を続けて、出口を見つけられない状況にあるのです。今後の金利上昇のリスクは依然として、くすぶっていると考える必要があるのです。

主要住宅ローン最新トピック

長期金利は上昇

新発10年国債利回り（長期金利）は、2018年2月1日時点で0.095％でしたが、2018年3月1日時点で0.055％と国債金利は0.04％下降しました。米国株の史上最大の下げが外国人投資家のリスクオフの動きを誘発し、その資金の逃げ道が「日本国債」「日本円」に向かったからです。

ネット銀行の変動金利競争は抜きつ抜かれつの状況

毎月のように変動するネット銀行による変動金利の低金利競争はじぶん銀行と住信SBIネット銀行（SBIマネープラザ）がリードしています。借り換えで有利なのは、住信SBIネット銀行（SBIマネープラザ）、じぶん銀行ですが、新規借り入れで有利なのはソニー銀行という形です。繁忙期の1月～3月に向けて、ネット銀行各社とも変動金利を引き下げての顧客獲得に力を入れています。

1. SBIマネープラザ（借り換え）：0.439％
2. 住信SBIネット銀行（借り換え）：0.439％
3. りそな銀行（借り換え）：0.440％
4. イオン銀行（借り換え）：0.450％
5. ソニー銀行（頭金1割以上）：0.457％
6. SBIマネープラザ：0.477％
7. 住信SBIネット銀行：0.477％
8. じぶん銀行：0.497％
9. イオン銀行：0.570％
10. SBI新生銀行：0.600％

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メガバンクは揃って金利を引き上げ。1.3％台に入る銀行も

各銀行の当初10年固定金利（保証料0.2％込）

• 三菱ＵＦＪ銀行：1.300%
• 三井住友信託銀行銀行：1.300%～1.850%
• 三井住友銀行：1.250%
• りそな銀行　1.300%
• みずほ銀行　1.000%～1.450%

メガバンクは、ネット銀行と比較して当初10年固定金利を打ち出していますが、長期金利の上昇に伴い、徐々に金利を引き上げています。

SBI新生銀行が金利が下がる固定金利を提供開始

SBI新生銀行は「ステップダウン金利タイプ」という金利タイプを提供しはじめました。

1. 10年後に金利が10％低下
2. 15年後に金利が20％低下
3. 20年後に金利が30％低下
4. 25年後に金利が40％低下
5. 30年後に金利が50％低下

と最大50％金利が低下する形になっています。どんどん金利が低下する長期の全期間固定金利という珍しい金利タイプを投入した背景には、SBI新生銀行の変動金利は他のネット銀行よりも、高金利で戦えないという事情が見え隠れします。顧客の受けが良ければ、ほかのネット銀行も、同様の金利タイプの投入に踏み切るでしょう。

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フラット35の制度変更

フラット35は、今までは「団信任意加入」「団信なし」を特徴として訴求してきた住宅ローンですが、今回の制度変更により「団信料込みの金利」が基本となりました。団信特約料が月々の返済額に織り込まれるということです。

ただし、団信への加入は必須ではなく、団信なしでも、金利が低いプランへの加入が可能ですので、それほど大きな変更ではありません。

同時に、フラット35Sの金利引き下げ幅が0.30％から0.25％に狭まっています。

日銀の黒田総裁が再任

2月16日、政府は日本銀行総裁に、黒田東彦氏を再任する人事案を国会に提示しました。任期は2023年4月までになります。日銀の総裁の決定が住宅ローン金利には大きな影響を与えます。現在の低金利の状況というのは、日銀が国債を買い続ける金融緩和政策（量的緩和）を続けているからに他なりません。逆に言えば、国債買い入れがストップする、買い入れ額を減額する動きがでれば、住宅ローン金利が急上昇する可能性があるということです。日銀の黒田総裁の再任によって、いったんは金融政策が維持される見込みが高くなっています。

1月新設住宅着工、前年同月対比13.2％減。7ヶ月連続の減少

1月の新設住宅着工戸数は前年同月対比で13.2％減の6万6358戸を記録しました。「持家」が0.1％増、「分譲住宅」が50.2％減、「貸家」が10.8％減となっています。相続税対策の貸家建設は順調に増加していましたが、6月に20か月ぶりに減少に転じ、そのまま減少が続いている形になります。また、地銀やメガバンクの融資姿勢もかなり慎重になっており、分譲マンションの大規模物件も減少しています。

1月のマンション価格は上昇、戸建て価格は低下

マンション価格が前月対比1.57％増の3373万円。戸建て価格は前月対比2.44％減の3317万円という結果になりました。前年対比でみると、マンション価格は7.53％増、戸建ては2.10％減となっています。長期化する低金利の影響を受けて、昨年対比で見るとマンション価格の伸びが引き続き大きい状況です。一方で戸建て価格はそれほど価格変動はなく、マンションと同レベルの価格帯になっています。

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