2016年の住宅ローン金利の動向はどうなる?今後の金利を徹底予測!
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- 作者: 住宅ローン比較
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2016年の住宅ローン金利の動向はどうなる?今後の金利を徹底予測!
2016年の住宅ローン金利はどうなるのでしょうか?ここでは2016年の金利推移を徹底予測します。
記事作成日:2015年9月15日
2015年の金利変動を振り返る
まずは、過去1年間の主要10銀行の平均金利を見てみましょう。
過去1年間の主要10銀行の平均金利推移
変動金利
2014年10月 : 0.782%
2014年11月 : 0.782%
2014年12月 : 0.782%
2015年1月 : 0.768%
2015年2月 : 0.768%
2015年3月 : 0.795%
2015年4月 : 0.782%
2015年5月 : 0.782%
2015年6月 : 0.782%
2015年7月 : 0.782%
2015年8月 : 0.782%
2015年9月 : 0.777%
当初10年固定金利
2014年10月 : 1.407%
2014年11月 : 1.374%
2014年12月 : 1.372%
2015年1月 : 1.277%
2015年2月 : 1.223%
2015年3月 : 1.286%
2015年4月 : 1.298%
2015年5月 : 1.277%
2015年6月 : 1.326%
2015年7月 : 1.370%
2015年8月 : 1.329%
2015年9月 : 1.279%
フラット35金利
2014年10月 : 1.650%
2014年11月 : 1.610%
2014年12月 : 1.560%
2015年1月 : 1.470%
2015年2月 : 1.370%
2015年3月 : 1.470%
2015年4月 : 1.540%
2015年5月 : 1.460%
2015年6月 : 1.540%
2015年7月 : 1.610%
2015年8月 : 1.580%
2015年9月 : 1.540%
1年前と比較すると
変動金利 0.782% → 0.777%
当初10年固定金利 1.407% → 1.279%
フラット35金利 1.650% → 1.540%
となっていてます。
変動金利はほぼ変わらず、当初10年固定金利とフラット35の金利は0.1%強下がったことになるのです。
1年前は日銀の国債買い入れが成功し、株価も上昇し続けていたため金利は上昇するという見方も強かったのですが、実際には金利は下がるという現象が起きています。では、なぜ金利は上がるどころか下がったのでしょうか?
2015年の金利が下がった理由
国債金利と10年以上の固定金利は連動します。
つまり、国債金利が下がったから当初10年固定金利とフラット35の金利も下がったのです。
国債は買い手が多くなれば、金利は下がります。
金利を下げても買う人が多いということになるからです。逆に政情が不安なギリシャなどは買い手がほとんどつかないため、金利を引き上げなければ売れないのです。ギリシャの10年もの国債金利は8.750%です。日本が0.350%ですから、どれだけ金利が違うのか?がわかると思います。
日本の国債に買い手が増えるというのは、今までは「日銀が民間銀行から買う:日銀が大口の買い手」という状況だったのですが、それに加えて「ギリシャデフォルト・ユーロ危機」「スイスフランショック」「中国株安からの世界同時株安」・・・と今年は最近まで見ても、世界的な経済のマイナスの急変動が多かったのです。
結果、外国人投資家達は、一時的に安全な投資先に資産を移そうとして、日本国債を買うのです。未だに日本は経済が安定している国として世界的な評価は高いことを意味しています。
日銀の国債買い入れ続いていることから、二重に買い手が増えて国債金利が下がり、当初10年固定金利とフラット35の金利も下がっているというのが現状なのです。
では、2016年の住宅ローン金利はどうなるのでしょうか?
2016年の住宅ローン金利を左右する要因
中国株安からの世界同時株安の展開
身近で意外と世界的にダメージが大きいのが、中国発端の世界同時株安です。中国経済のバブル崩壊と、GDP成長率などの国ぐるみの改ざんは、数年前から懸念されていたことなのですが、中国人民銀行(中央銀行)が人民元の切り下げをしたことから、「やはり、中国政府ももう無理だと思っているんだ」と投資家に不安が広がり、さらに暴落が発生して、それが世界に波及してしまったのです。
中国株だけでなく、世界的に株価が下がってしまったのです。日本株も例外ではなく、20,000円を超えて順調に推移していた株価も、18,000円を割るラインまで下がってきてしまいました。
中国経済のバブル崩壊の表面化が2016年も広がるのであれば、当然世界中の投資家の資金は安全資産に向かうことになります。金・プラチナや日本円・日本国債などに投資資金が流れるとすれば、国債金利も低金利のまま進むことになるのです。
中国経済が低迷 → 国債買い手増加 → 国債金利低下 → 住宅ローン金利低下
日銀の国債買い入れは続くのか?
日銀の異次元金融緩和によって、民間銀行が保有していた国債を日銀は買い入れてます。これがアベノミクスの一旦なのですが、2017年までで日銀の国債買い入れ枠は年間160兆円もあるのです。民間銀行全体の預金残高は652兆円で貸出残高は453兆円しかありません。
どう考えても、国債買い入れを未来永劫続けることは不可能なのです。しかし、日銀は国債買い入れを止めてしまえば、国債金利が上昇することを理解していますし、アベノミクスが失敗に終わることも理解しています。物価上昇、給料の上昇が当初想定に全く追いついていないという問題がありながらも、続けるしかない状況でもあるのです。
消費税が10%に増税される2017年4月までは、この日銀の国債買い入れは続くことが予測されますが、それ以降も続けることはかなり難しいというのが現状です。
もう一つの不安要素としては、「安倍政権が継続するかどうか?」というものもあるのです。今は2016年夏の衆参同時選挙というのが取りざたされているのですが、仮に政権交代となった場合には日銀の国債買い入れ戦略も見直しが起こると考えられるのです。安保法案の問題もあり、支持率が下がっている安倍政権とはいえ、対抗馬の政党がいないため、自民党の政権は続く可能性が高いのですが、どう転ぶかはわかりません。
日銀の国債買い入れが続く → 国債買い手増加 → 国債金利低下 → 住宅ローン金利低下
日銀の国債買い入れが停止 → 国債買い手現象 → 国債金利上昇 → 住宅ローン金利上昇
景気は良くなるのか?
景気が良くなれば、変動金利に連動する短期プライムレートが上昇することになります。短期プライムレートというのは民間銀行が短期で企業に融資するときの金利であり、この金利を引き上げても、それ以上の利益が出せる好景気の機運が高まれば、変動金利が上昇することになるのです。
本来、日銀の金融緩和というのは、日銀が国債を買い入れて資金を民間銀行や企業に流して、物価を上昇させ、企業の経営状態を良くして、従業員の給料も引き上げる目的で行われているのです。これがアベノミクスですが、果たしてこれはうまく行っているのでしょうか?
実際に金融緩和により、円安になったことから輸出を中心にしている企業は売上が増加することになります。さらに外国人観光客が増え、観光業や小売業にもプラスの影響が出ていることも間違えありません。
しかし、一方で国民の給料まではこのプラスの影響が届いていないという声があるのも事実で、かつ8%消費税増税による実質収入の低下は消費マインド自体を低下させてしまい、個人消費の停滞につながってしまっているのです。消費が増えなければ景気が良くなるわけもありません。しかも、2017年4月には10%の増税が待ち構えているのです。
景気が良くなる → 短期プライムレートが上昇 → 住宅ローン金利上昇(変動金利)
景気が悪いまま → 短期プライムレートが低下 → 住宅ローン金利低下(変動金利)
ゆうちょ銀行の参入による住宅ローン低金利競争の激化
メガバンクよりも巨大な銀行「ゆうちょ銀行」が上場します。2016年には独自の住宅ローンサービスの展開をはじめることが予測されます。現状でも、スルガ銀行の住宅ローン商品を代理販売しているものの、これとは別の意味を持つものです。
ゆうちょ銀行は未だ民営化されておらず、国の銀行なので民間銀行からは民業圧迫という批判が強いのですが、全国に支店を持ち、メガバンク以上の預金残高があり、顧客からの知名度もあるゆうちょ銀行の住宅ローン事業参入は住宅ローンの低金利競争に拍車をかけることが予測されるのです。
ゆうちょ銀行の住宅ローンは、民間銀行に配慮して、民間銀行が手を出さない高齢者向け、個人事業主や経営者向けに制限されるという情報もあるようですが、これも本当かどうかはわかりません。
景気が好調になりきれていない段階では、民間銀行にとっては住宅ローンは非常に重要な融資先であり、利益が出なくても融資先として確保しなければならないものなのです。ゆうちょ銀行が住宅ローン事業で普通の一般の方向けのサービスを強化した場合には、民間銀行は今まで以上に住宅ローン金利を低金利にするなどして顧客獲得を強化せざるを得ないのです。
ゆうちょ銀行の住宅ローン参入ある → 競争激化 → 住宅ローン金利の低下
2016年の住宅ローン金利動向予測
あくまで、2015年9月時点での当サイト編集者の考えですが・・・
- 日銀の国債買い入れは政権交代がない限り止められない。
- 日銀の国債買い入れは2017年4月の消費増税までは続く。
- 中国経済や世界経済の悪化も長引くことが予測される。
- アベノミクスによるインフレも徐々に効果がではじめているが大きな波にはならない。
- ゆうちょ銀行の住宅ローン参入は避けられない。
という理由から
2016年の間は現状の住宅ローンの低金利状態が続く
と予測されます。
大きな分岐点になるのは2017年だと思われます。
2017年4月には再度10%の消費増税があり、増税による景気の減退は必ずおきます。日銀の国債買い入れもこのタイミングで限界を迎えるでしょう。そうなれば政権交代も現実味を帯びてくるのです。「2017年に今の景気が上昇傾向に入っているのか?」によって、大きく住宅ローン金利は影響を受けると思われます。
2017年の時点で上手く景気が上昇傾向に乗っているのであれば、2017年以降は金利が上昇するため、固定金利を選択するという判断になりますが、2017年の段階では景気が回復しておらず、そこに増税がのっかって、結局今のままの不況が続くと考えるのであれば、金利は上昇しないので変動金利で問題ないという判断になるのです。
2年後、3年後でも、景気を予測するのはかなり難しいことですので、変動金利を選ぶ場合には金利が上昇しても対応できるような事前の準備をした上で変動金利を選択することをおすすめします。