モーゲージバンクが販売するフラット35と銀行が販売するフラット35はどっちがいいの?徹底比較
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- 作者: 住宅ローン比較
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モーゲージバンクが販売するフラット35と銀行が販売するフラット35はどっちがいいの?徹底検証
「フラット35」は住宅金融支援機構が提供している住宅ローン商品ですが、住宅金融支援機構自身は、自ら販売せず、取扱金融機関、全国約300社が販売する仕組みとなっています。この取扱金融機関というのは、行ってみれば販売代理店ということになりますが、銀行以外にも、モーゲージバンク(ノンバンク)が取扱金融機関として「フラット35」を販売しているのです。
では、モーゲージバンクが販売するフラット35と銀行が販売するフラット35はどっちがいいのでしょうか?徹底検証してみます。
そもそも、モーゲージバンクとは?
モーゲージバンクとは
預金機能などの銀行機能を有しないで、住宅ローンの販売に特化した金融機関のこと
を言います。
銀行の場合
個人からの預金、日銀からの借入などで資金を調達します。
その資金を住宅ローンとして融資をして、利ザヤを収益とします。
住宅ローン金利:0.5%~1.0%
預金金利:0.001%
ですから、その利ザヤが銀行の収益になるのです。
モーゲージバンクの場合
銀行のような預金機能はありません。
銀行ではないので日銀も貸してくれません。
資金調達がままならないため、自社の住宅ローン商品を作るのは非常に困難なのです。
しかし、2003年に住宅金融支援機構が設立され、証券化された住宅ローン商品として「フラット35」が誕生しました。
証券化というのは、個人投資家などから資金を調達して、住宅ローンとして融資をする仕組みです。
住宅金融支援機構は、前述した通りで自社では「フラット35」を販売しません。
販売代理店(取扱金融機関)を募って、代理店に販売してもらい、対価として販売手数料を渡すのです。
販売代理店として「フラット35」を売るだけなら、資金調達の機能が必要ありませんから、2004年~2005年にかけて、モーゲージバンクという住宅ローン専門会社が多く誕生したのです。
そのため、モーゲージバンクの販売商品は、ほぼ「フラット35」のみになっています。
フラット35の販売シェアで見ても、モーゲージバンクの販売シェアが8割を超えているというデータもあるぐらいです。一部、他社の住宅ローン商品を販売するモーゲージバンクもありますが、競合してしまうため、「フラット35」のように積極的に販売しているわけではありません。
モーゲージバンクというのは、「フラット35」を販売している住宅ローン専門会社
という認識で良いのです。
代表的なモーゲージバンク
※金利やその他の情報は2017年11月時点のものです。最近の金利情報などは、各金融機関のウェブサイトで確認してください。
ARUHI(アルヒ)
ARUHI(アルヒ)の概要
ARUHI(アルヒ)は、フラット35の取り扱いシェア7年連続No.1の国内最大手のモーゲージバンクです。元々は、SBIモーゲージという社名で、SBIホールディングス傘下のSBIグループのモーゲージバンクでしたが、2014年にカーライル・グループのCSMホールディングスに筆頭株主が後退し、社名をアルヒ株式会社に変更しました。
ARUHI(アルヒ)のフラット35金利
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)
9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%
ARUHI(アルヒ)の手数料
借入額の2.0%(税別)
ARUHI(アルヒ)の他のモーゲージバンクにない特徴
事前審査:最短即日、本審査:最短3営業日という融資スピード
ARUHIの店舗で相談が可能
優良住宅ローン
優良住宅ローンの概要
株式会社優良住宅ローンは、2005年に設立された独立系のモーゲージバンクです。本社は東京都新宿区にあり、全国13都市に展開しています。
優良住宅ローンのフラット35金利
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)
9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%
優良住宅ローンの手数料
(性能表示物件の場合) 借入額の0.5%
(非性能表示物件の場合)借入額の0.8%
優良住宅ローンの他のモーゲージバンクにない特徴
手数料がかなり安い
日本モーゲージサービス
日本モーゲージサービスの概要
日本モーゲージサービス株式会社は、2005年に設立された独立系のモーゲージバンクです。
日本モーゲージサービスのフラット35金利
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)
9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%
日本モーゲージサービスの手数料
借入額の1.945%(税別)
日本モーゲージサービスの他のモーゲージバンクにない特徴
資金計画シミュレーションなど書類関係をWEBからダウンロードできる
モーゲージバンクが販売するフラット35と銀行が販売するフラット35を比較
※金利やその他の情報は2017年11月時点のものです。最近の金利情報などは、各金融機関のウェブサイトで確認してください。
今回は
モーゲージバンクの代表として
- ARUHI
- 優良住宅ローン
- 日本モーゲージサービス
銀行の代表として
- みずほ銀行
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
を対象に調査しました。
金利を比較
フラット35の金利決定の仕組み
住宅金融支援機構がフラット35の金利を「幅」をもって決定します。
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)
9割以下:年1.370%~年1.990%
9割超:年1.810%~年2.430%
としているので、取扱金融機関は、この金利の範囲内で自分の好きな金利を設定することができます。
現実的には、ほとんどの取扱金融機関が「下限金利」を採用しています。
モーゲージバンクのフラット35金利
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)/9割以下
- ARUHI:年1.370%
- 優良住宅ローン:年1.370%
- 日本モーゲージサービス:年1.370%
銀行のフラット35金利
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)/9割以下
- みずほ銀行:年1.370%
- 楽天銀行:年1.370%
- 住信SBIネット銀行:年1.370%
比較結果
同じです。
大手であればあるほど、フラット35の金利を下限以外に設定してしまえば、競合他社に顧客を奪われてしまうため、下限金利で設定するのです。結果として、フラット35の金利というのは、どこから入っても同じ金利になっています。
事務手数料を比較
モーゲージバンクの事務手数料
- ARUHI:お借入額の2.0%(税別)
- 優良住宅ローン:お借入額の0.8%(税別)※非性能表示物件の場合
- 日本モーゲージサービス:お借入額の1.945%(税別)
銀行の事務手数料
- みずほ銀行:お借入額の1.836%(税別)
- 楽天銀行:お借入額の1.0%(税別)※楽天銀行の口座を返済口座にした場合
- 住信SBIネット銀行:お借入額の2.0%(税別)
比較結果
基本的には「お借入額の2.0%(税別)」というのが相場です。
しかし、モーゲージバンクや銀行によっては「0.8%」「1.0%」と格安の事務手数料設定をしているところもあります。
金利が同じなのですから、事務手数料が安い金融機関ほど「フラット35を選ぶならお得」ということになります。
がおすすめということです。
店舗での相談で比較
モーゲージバンクの店舗
- ARUHI:84店舗
- 優良住宅ローン:本社、13支社
- 日本モーゲージサービス:本社、3支社
銀行の事務手数料
- みずほ銀行:420店舗
- 楽天銀行:店舗なし
- 住信SBIネット銀行:店舗なし
比較結果
ARUHI、みずほ銀行が断トツで店舗数を抱えており、来店相談が可能になります。
パッケージローンの有無で比較
パッケージローンとは
フラット35は、自己資金が1割未満と1割以上で、大きく適用金利に差が出てしまうため、自己資金分の1割を金融機関が融資をして、自己資金1割以上の条件でフラット35を利用できるプランのこと
を言います。
自己資金によって
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下
融資率90%以上(自己資金10%以上):年1.370%
融資率90%未満(自己資金10%未満):年1.810%
と、金利が0.44%も変わってくるのです。
3000万円の借入だとしても、
融資率90%以上(自己資金10%以上):年1.370%
総返済額:37,781,718円
融資率90%未満(自己資金10%未満):年1.810%
総返済額:40,520,835円
ですから、2,739,117円も、返済額が増えてしまうのです。
そこで、モーゲージバンクや銀行は、1割分を金融機関が別のローンとして融資をして、融資率90%以上(自己資金10%以上)のプランで「フラット35」を利用できるパッケージローンを提供しているのです。
モーゲージバンクのパッケージローン金利
- ARUHI:ARUHIフラットα 金利 年2.895%
- 優良住宅ローン:プラスワン 金利 年2.725%
- 日本モーゲージサービス:なし
銀行のパッケージローン金利
- みずほ銀行:なし
- 楽天銀行:固定と変動 金利 年1.587%
- 住信SBIネット銀行:ミスターパッケージローン 金利 年1.400%
比較結果
パッケージローンは、モーゲージバンクにも、銀行にもありますが、モーゲージバンクは資金調達機能が弱い分、銀行のパッケージローンと比較すると金利が割高になっています。自己資金が1割以下でフラット35を検討しているのであれば、銀行のパッケージローンを利用したフラット35の方が金利負担が小さくなります。
その他の特徴的なサービス
ARUHI
審査スピードが早い
事前審査:最短当日
本審査:最短3営業日
住信SBIネット銀行
全疾病保障がお借入金額の0.5%の事務手数料上乗せで入れる
モーゲージバンクが販売するフラット35を利用するデメリット
選択肢が「フラット35」しかない
モーゲージバンクは、基本的に「フラット35」が販売商品の9割以上を占めます。すでに「フラット35」を利用することを決めている方であれば問題ありませんが、そうでない場合には選択肢が狭まってしまいます。
銀行が販売するフラット35を利用するデメリット
自行の住宅ローン商品を優先的に勧めてくる
銀行にとっては、自行の住宅ローンの方が収益性が高いため販売の優先順位が高く、フラット35は自行の住宅ローン審査に落ちた方に勧める程度の優先順位となっています。ウェブサイトの情報量を見てもあきらかですが、とくにメガバンクや地方銀行はフラット35を積極的に販売しているわけではないのです。
都市銀行、地方銀行の銀行の担当者は「審査が落ちたらフラット35を勧める」という方も多いようです。
ただし、対面でないため販売コストが抑えられるネット銀行の場合は、自行の住宅ローン商品とフラット35を別のウェブサイトにすることで、販売方法を切り分けています。無理に自行の住宅ローン商品を勧めてくることはありません。
結論
モーゲージバンクが販売するフラット35と銀行が販売するフラット35はどっちがいいの?
すでに「フラット35」を選ぶことを決めている方
少しでも事務手数料が安い「フラット35」を探している方
→ ネット銀行のフラット35、モーゲージバンクのフラット35がおすすめです。
対面で「フラット35」の相談をしたい方
→ モーゲージバンクのフラット35がおすすめです。
「フラット35」を自己資金1割未満で探したい方
→ パッケージローンの金利は銀行の方が低金利なので、銀行のフラット35がおすすめです。
まだ、フラット35にするのか?決めかねている方
→ 銀行のフラット35がおすすめです。
そのほか
審査をすぐにすすめたい方
→ ARUHIがおすすめです。
全疾病保障を格安で付帯させたい方
→ 住信SBIネット銀行がおすすめです。
少しでも安い事務手数料のフラット35を探している方
「フラット35」を探している状況や、考え方によって、おすすめの「フラット35」の選び方は違うのですが、モーゲージバンク、都市銀行・地方銀行、ネット銀行によって、メリットデメリットが異なるので、その特徴に合わせてフラット35を選ぶことをおすすめします。
今回は、「モーゲージバンク VS 銀行」という形で比較しましたが、現状は「モーゲージバンク VS 都市銀行 VS ネット銀行」という3つの戦いになっているのです。
とくにネット銀行は、店舗を持つモーゲージバンクや都市銀行、地方銀行とは異なり、集客コストの安いインターネットを駆使してフラット35を販売することができます。抵コストで販売できる分、収益性が高くなり、事務手数料を安くしたり、独自の付加価値サービスを提供できたりするのです。「フラット35」を選ぶときには、ネット銀行も重要な選択肢であることを理解したうえで、比較検討の選択肢に入れましょう。