ペアローンのリスクと注意点。出産、離婚、病気のときにどうするかの対策
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- 親カテゴリ: 住宅ローンの基礎知識
- カテゴリ: 住宅ローンの種類やサービス
- 作者: 住宅ローン比較
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ペアローンのリスクと注意点。出産、離婚、病気のときにどうするかの対策
ペアローンというのは住宅ローンの借り方の中でも、選ぶ方の多い借り方です。「夫婦の収入を合算して、住宅ローンを借りられる」というメリットがある反面、注意すべきリスクも内包しているのです。今回は「ペアローンのリスクと注意点。出産、離婚、病気のときにどうするのか?」について解説します。
1.収入減リスク(出産、減給、倒産、解雇リスク)
30年を超える住宅ローンの返済期間の中では様々な収入減リスクがあります。
- 会社をクビになる
- 会社の収入が減る
- 会社が倒産する
- 病気になって働けなくなる
- 要介護状態になって働けなくなる
- 親の介護が必要で働けなくなる
- 子供が生まれて出産で働けなくなる
- 子供が生まれて子育てで働けなくなる
- 子供が生まれて職場復帰が難しくなる
- ・・・
挙げていけばキリがありませんが、長い人生では万が一働けなくなるリスクは当然あるのです。
「これってペアローンじゃなくて、夫単独の住宅ローンでも一緒でしょ?」
という方もいるかと思いますが一緒ではありません。
なぜなら、
夫だけが住宅ローンを組んでいるのであれば、妻が働くなどでフォローができるからです。
しかし、ペアローンの場合は、元々夫婦の収入を返済の充てにして銀行が融資をしているのですから、夫の収入が減少して、その分を妻が今の仕事を抱えながらカバーするというのは現実的ではないのです。
単独の住宅ローン
夫:年収300万円
妻:年収200万円
→ 1800万円の借入(年収の6倍)。毎月の返済額8万円
という状況であれば、夫の収入がなくなったとしても妻が返済することは可能ですが
ペアローン
夫:年収300万円
妻:年収200万円
→ 3000万円の借入(年収の6倍)。毎月の返済額14万円
という状況であれば、夫の収入がなくなった場合に妻の年収だけで住宅ローン返済を続けるのは容易ではないのです。
ペアローンでは借りられる金額も2倍になりますが、収入減のリスクも2倍になるのです。
収入減リスク(出産、減給、倒産、解雇リスク)に対する対策
めいいっぱい借りない
前述したような予期せぬリスクは、予測できないものなのです。誰にでも発生しうるリスクと言えます。
ペアローンを利用すると借りられる金額が倍増するので、心情としては「せっかく借りられるなら、めいいっぱいの物件に住みたい。」と思うものですが、万が一の収入減を見越して、ある程度の余地を残しておくべきなのです。
夫:年収300万円
妻:年収200万円
→ 3000万円の借入(年収の6倍)
としても、実際に借りる金額は8割の2400万円程度に抑えておけば、多少の収入減にも対応できるはずです。
収入減のときは売却を覚悟する
ペアローンが払えないのであれば売却するという選択肢と覚悟をあらかじめ持っておくのも一つの方法です。
売ることを前提にするのであれば、地価の下がりにくい物件を選んでおくという方法もあります。
「収入減になったら、無理せずに売却しよう。それも仕方ないね。」と割り切っておくことも一つの方法と言えます。
2.離婚リスク
ペアローンで大きなリスクは収入減リスクだけではありません。
「離婚」というリスクもあるのです。
平成27(2015)年度「人口動態統計調査」
婚姻件数:57万5743件
離婚件数:20万6205件
ですから、3人に1人は離婚してしまう時代です。
ペアローンの場合は
- 夫婦が一つの物件の所有権を持分割合(住宅ローン借入割合)で保有する
- 夫が妻の連帯保証人になる
- 妻が夫の連帯保証人になる
という形で、権利関係が複雑になっているのです。
離婚したときに、もしペアローンでの支払いを継続するのであれば
夫:俺が住んでいないのになんでローンを払い続けなければならないんだ。
妻:夫の分の返済が止まったから、連帯保証人の私に一括支払いの請求が来たんだけど。
と考えたくないほど、揉める要素が色々出てきてしまうのです。
離婚協議の財産分与のときに
- 所有権をどちらかに一本化する
と決めたとしても、銀行がOKしてくれる可能性は低いのです。
なぜなら、
夫婦両者の収入に対してローンを組んでいるのですから、離婚を機に一本化しようとしても、どちらかの収入では収入不足しているため銀行がOKを出さない可能性が高いのです。
これでは選択肢は
- マイホームは売却する
- ペアローンとして払い続ける
しかありません。
ペアローンの方が、単独の住宅ローンよりも選択肢が少なく、揉める可能性も大きいのです。
離婚リスクに対する対策
万が一、婚姻関係が継続できない場合の対策を話し合っておく
あらかじめ、夫婦の中で仮に離婚となったときに「どういう形で物件を分配するのか?」「返済を継続するのか?」は話し合っておくべきです。
書面で残しておけば、万が一のときも揉める可能性は低いのです。
まとめ
ペアローンでは
- 収入減リスク
- 離婚リスク
が単独で住宅ローンを組むときよりも大きくなってしまいます。適切な対策をして、ペアローンを検討することをおすすめします。