「財形住宅貯蓄」を利用するメリットデメリット
- 詳細
- カテゴリ: 住宅ローンの達人が教える
- 作者: 住宅ローン比較
- 参照数: 35412
「財形住宅貯蓄」を利用するメリットデメリット
企業の福利厚生の一環として、比較的規模の大きい企業の場合には「財形貯蓄制度(勤労者財産形成貯蓄制度)」を用意しているところが多いはずです。今回は、住宅ローンとして活用できる「財形住宅貯蓄」について解説します。
「財形貯蓄制度(勤労者財産形成貯蓄制度)」とは?
働く人の勤務先が金融機関と連携して給料から天引きで貯蓄を半強制的に行う制度のことを言います。会社員はもちろん、契約社員やパートの方も利用できます。
「財形貯蓄制度」には、貯蓄の目的に応じて
- 一般財形貯蓄:一般(その他、教育費など)
- 財形住宅貯蓄:年金(老後資金)
- 財形年金貯蓄:住宅(マイホーム購入)
の3種類があります。今回解説するのは、住宅の購入資金のための財形貯蓄「財形住宅貯蓄」です。
「財形住宅貯蓄」とは?
財形貯蓄を1年以上利用していて、かつ残高が50万円以上ある人
残高の10倍(最高4000万円)まで、かつ住宅取得に必要なお金の90%まで
借りる事ができる制度
です。
正確な名称は「財形持家転貸融資」と言います。あくまでも、「財形住宅貯蓄」は住宅資金を貯めるための貯蓄制度なので、「財形住宅貯蓄」を利用した融資の制度は「財形持家転貸融資」と名前が違うのです。
住宅ローンと同じように利用できる融資制度なのです。
「財形持家転貸融資」の利用条件
- ご自分で所有および居住するための住宅を建設・購入・リフォームしようとする方
- 融資の申込日において50万円以上の財形貯蓄残高(「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」それぞれの残高の合算が可能)を有している方
- 借入申込日の2年前の日から借入申込日までの期間内に、財形貯蓄契約に基づく定期の積み立てを行ったことがある方
- 上記定期の積み立てを行った日まで継続して1年以上にわたって、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」のいずれかを行っている方、または行っていたことのある方
- 事業主から負担軽減措置を受けられる方(リフォームの場合を除きます)
- 申込日現在、70歳未満の方、完済時年齢が80歳までの方
- 廃止前の財形持家分譲融資を受けていない方
対象となる不動産
- 住宅の建設資金:1戸あたり床面積70㎡以上、280㎡以下
- 土地の取得資金:土地購入・借地権取得・土地整備
- 新築住宅の購入資金:1戸あたり床面積70㎡以上(マンションは40㎡以上)、 280㎡以下
- 中古住宅の購入資金:1戸あたり床面積40㎡以上、280㎡以下
- 住宅のリフォーム資金:リフォーム後の床面積40㎡以上となる、増築・改築・修繕工事
「財形持家転貸融資」の有利利率
2017年10月1日現在
変動金利:0.67%
「財形持家転貸融資」の担保、保証人
- 不動産担保
- 連帯保証人(または金融機関の保証)が必要
「財形持家転貸融資」の申込先
勤務先の福利厚生の担当者へ依頼
財形持家転貸融資のメリット
- 550万円までは利子への課税が非課税
- 住宅ローン審査が通りやすい
財形持家転貸融資のデメリット
- 金利がそこまで低金利ではない
大きな課題としては、ネット銀行の住宅ローン金利が0.4%台で推移している中で、「財形持家転貸融資」の金利は0.67%(2017年10月1日現在)です。
本来は、貯蓄している分、「財形持家転貸融資」の方が低金利になるはずなのですが、ネット銀行の住宅ローン金利引き下げ競争が激化しすぎで、ネット銀行の住宅ローン金利の方が断然低金利になってしまったのです。
これが最大のデメリットであり、財形持家転貸融資の利用が進まない理由の一つにもなっています。