住宅ローン審査甘い銀行と辛い銀行の差はどこにあるのか?
- 詳細
- 親カテゴリ: 住宅ローンの達人が教える
- カテゴリ: 住宅ローン審査
- 作者: 住宅ローン比較
- 参照数: 12141
住宅ローン審査甘い銀行と辛い銀行の差はどこにあるのか?
住宅ローンの審査で「審査が甘い銀行」と「審査が辛い銀行」を見分けるためには、どうすれば良いのでしょうか?また、どこに差がでてくるのでしょうか?ここでは、住宅ローンの審査のハードルの違いについて解説します。
住宅ローンの審査はなんのためにあるのか?
「審査が甘い銀行」と「審査が辛い銀行」を見極めるためには、「そもそも銀行はなぜ住宅ローンを提供するときに審査をするのか?」を理解しなければなりません。
銀行という業態は
安い金利でお金を集めて → 高い金利でお金を貸して → 利ザヤが利益になる
ビジネスモデルです。
お金を集める方法としては、日銀から借りる(金利0.1%前後)、預金で個人から集める(金利0.025%程度)・・・などがあります。
高い金利でお金を貸す方法としては、カードローン(金利15%前後)、住宅ローン(金利0.5%~2.0%)です。
預金で年率0.025%で集めたお金をカードローンで年率15.0%で貸すのであれば、その差は14.775%です。100億円貸せたら年間の利益は14億7750万円にもなるのです。しかし、当然カードローンを貸した場合には、「返さない人」「返せない人」「自己破産などをする人」が出てきてしまうため、100億円仮に貸したとしたら、1億円~2億円は返ってきません。これが貸し倒れと呼ばれるものです。
一方、住宅ローンの金利は史上最低金利と呼ばれる状態になり、変動金利であれば0.5%台の金利になってしまうのです。100億円貸しても、年間の利益は5000万円程度とカードローンと比較すれば非常に儲からない商品ということになります。
しかし、カードローンは無担保(担保がない)商品であるため、貸倒が発生した場合にはそのまま銀行の損失になってしまいます。しかし、住宅ローンは「住宅」という担保があるために返済できない状態になったとしても、担保の「住宅」を売ることで損失を最低限に減らすことができるのです。だから、住宅ローンはカードローンよりも低金利で提供できる商品なのです。
しかしながら、仮に住宅ローンは貸し倒れがないとしても、同じ100億円を貸した場合のカードローンの利益、貸倒分を除いて約13億円と住宅ローンの5000万円では、住宅ローンが圧倒的に利益が少ないことがわかります。
じゃあ、なぜ銀行は利益が少ない住宅ローンを積極的に販売するのか?というと
多少景気が好転したとはいえば、不況の中で経営の向上の見込みがない企業の融資にお金を出すよりも、担保があって利益は少ないけれども、大きな金額を貸すことのできる住宅ローンの方が安全という判断をしているからなのです。
住宅は個人でも3000万円前後の借入になります。結果として○兆円という単位での規模になる安全な融資先なのです。そのため、銀行は融資先の選択肢の中で大部分を住宅ローンにする必要があるのです。そうでなければ、預かったお金を運用できないことになってしまうのです。
これが銀行の住宅ローンビジネスの背景です。
では本題の住宅ローン審査との関係について解説します。
1.利幅が少ない住宅ローンでは、利益を大きく出せるコストが少ないネット銀行の方が審査が甘い!?
上記で解説したとおりに住宅ローンは銀行から見ると利益の少ない金融商品です。そのため、ネット銀行と都市銀行(メガバンクや地方銀行)を比較すると
- 店舗を持つコスト(家賃、光熱費)
- 店舗に配置する人員を持つコスト(人件費)
- パンフレットやお知らせの連絡ややりとりをするコスト(配送費、印刷費、広告費)
などのコストがかからないネット銀行の方が断然利益は大きく取れるのです。
利益が大きく取れるということは、審査のハードルも低くしても問題がないということになります。つまり、ネット銀行や店舗を持たない新しい形態の銀行の方が、メガバンクや地方銀行よりも審査は甘くなる可能性が高いのです。
2.キャンペーン展開をしている銀行は審査が甘い!?
1年の中でも、銀行によっては積極的に「金利優遇キャンペーン」「事務手数料優遇キャンペーン」をしています。
キャンペーンを展開しているということは、単純に言えば、目標の融資件数に届いていない切迫した状況ということに言い換えられるのです。
住宅ローンは利幅は少なくても、銀行にとっては「大きな金額を融資できる融資先」になっているため、住宅ローンの目標融資件数を大きく割ってしまうと、銀行にとっては大きな損失になってしまうのです。
そのため、金利を優遇したり、他のメリットを付けたりして、なんとか目標件数を達成させるために「キャンペーン」を展開するのです。つまり、キャンペーンを行っている銀行は審査のハードルが低くなっている可能性が高いと言えるのです。
3.歴史の浅い銀行の方が審査が甘い!?
住宅ローンの審査というのは「担保を正確に評価すること」が一番重要になってきます。担保評価さえ適性であれば、貸倒が発生してもリスクは少ないからです。
しかし、最近では担保評価額よりも大きな金額を住宅ローン(諸費用ローン)で貸し出す銀行も少なくありません。
このときに重要になるのは「貸し倒れをするかどうか?」の見極めになってくるのです。
「どのような審査基準にすれば貸し倒れ率が何%ぐらいになるのか?」これは経験値があってこそわかる銀行の審査ノウハウと言っていいでしょう。
メガバクや地方銀行など歴史のある銀行はこれらの審査ノウハウが確立されていますが、ここ数年で立ち上げられたネット銀行や新しい形態の銀行は手探りで審査ノウハウを確立している真っ最中と言っていいでしょう。同時に立上て間もない状態であれば、より実績を求められるため審査のハードルが低く設定されることが多いのです。
結果としてここ数年で立ち上げられたネット銀行や新しい形態の銀行の方が住宅ローン審査が甘い可能性が高いのです。
4.フラット35は審査が別物
フラット35というのは、住宅金融支援機構という国の機関が住宅購入のための資金を融資するものです。
銀行がフラット35を取り扱っているとは言えど、これは代理販売しているだけなのです。
極端な言い方をしてしまえば、銀行はフラット35で貸し倒れが発生したとしても、痛くも痒くもないのです。銀行がお金を貸しているわけではないからです。
結果として、「銀行が自社の住宅ローンの審査に通らなかった方にはフラット35をすすめる」ということが平然と起きているのです。
最近では、住宅金融支援機構側もこの事態を重く受け止めていて、貸し倒れ率が高い人を紹介した銀行にはフラット35の販売手数料を引き下げるなどの制度を検討しているようです。しかし、具体化はされていないため、まだまだフラット35は他の住宅ローン審査に落ちた場合の駆け込み寺のような機能を持ってしまっているのです。
まとめ
総じていえば
審査のハードルが低い順番は
- フラット35
- ネット銀行
- 新しい形態の銀行(流通系)
- 店舗を持つが店舗数の少ない都市銀行
- 地方銀行
- メガバンク
というような順番であることが想定されます。
基本的に住宅ローンは金利によって大きく返済総額が変わってしまうものなので、住宅ローンを比較検討する段階ではじめから審査で選ぶ必要はありませんが、住宅ローン審査が2社に申込んでも落ちてしまったという方は、審査のハードルが低い住宅ローンを優先的に選ぶと良いでしょう。
ちなみに不動産会社の紹介した銀行の住宅ローンだから審査が通りやすいということはありませんので、自分で探すことが重要です。