フラット35は物件が「技術基準」をクリアしないと利用できない
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- カテゴリ: フラット35
- 作者: 住宅ローン比較
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フラット35は物件が「技術基準」をクリアしないと利用できない
フラット35は物件の性能が一定基準以上でないと利用することができません。今回はフラット35の「技術基準」について解説します。
民間銀行の住宅ローンとは違うフラット35審査のスタンス
民間銀行の住宅ローンで重視されるのは
貸したお金をきちんと返してくれる人かどうか?
です。だからこそ、「信用力」「年収」「収入の安定性」「借金の有無」などを審査でチェックするのです。
一方、フラット35の審査で重視されるのは
住宅が一定のレベル以上の性能を保持しているかどうか?
です。フラット35は独立行政法人の「住宅金融支援機構」が提供している住宅ローンです。国の住宅ローンと言っても差し支えありません。
日本政府としては、住宅市場では物件の寿命というものを問題視しています。欧米に比べて日本は住宅の寿命が著しく短いからです。
イギリス77年に対して、日本は30年で壊してしまうのです。これを改善して、住宅のストックを増やすことを重視しているため、フラット35では「性能が良い、耐震性・耐久性に優れている住宅であるかどうか?」が審査されるのです。
フラット35審査に通るためには、最低条件として金融支援機構が定める「技術基準」をクリアしている必要があるのです。
フラット35の「技術基準」とは
耐震性・耐久性に優れている住宅であるかどうか?を金融支援機構が定める基準で第三者機関がチェックするものであり、この適合証明書があることがフラット35の利用条件になっているのです。
クリアできる基準によって利用できるフラット35の種類が異なる
技術基準にも段階があり、クリアできる基準に応じて利用できるフラット35が変わります。低金利のフラット35Sを利用するためには、より高い基準をクリアする必要があるのです。
適合証明書の取得の流れ
- 適合証明検査機関に依頼
- 設計検査:設計図面の審査
- 中間現場検査:屋根工事完了後の中間検査
- 竣工現場検査:工事完了後の検査
- 適合証明書の交付
という流れで発行されます。
フラット35の「技術基準」
1.接道
一般の道路に2m以上接すること
2.住宅の規模
戸建:70㎡以上
マンション・共同住宅:30㎡以上
※事務所や店舗などと住宅が一体化した併用住宅の場合は、住宅部分の床面積が2分1以上を占めている必要があります。
3.住宅の規格
2つ以上の居住室(家具で仕切れるものも可)
キッチン
トイレ
浴室(浴槽の設置)
があり、独立した生活ができるもの
4.戸建て形式等
木造住宅の場合は戸建て(連続建て)のもの
※連続建てはラスハウスのようなつながった戸建てのことを言います。
※耐火構造の住宅内の専用階段は、耐火構造以外の構造とすることができます。
5.断熱構造(断熱等性能等級2相当)
住宅の外壁、天井又は屋根、床下などに所定の厚さ以上の断熱材を施工
6.住宅の構造
耐火構造、準耐火構造または耐久性基準に適合していること
※準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。
※耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。
7.配管設備の点検
戸建:点検口等の設置
マンション・共同住宅:共用配管を構造耐力上主要な壁の内部に設置しないこと
8.区画
住宅相互間等を1時間準耐火構造等の界床・界壁で区画
※界床とは共同住宅で上下階の間に位置する床のこと
※界床とは共同住宅で各住戸の間を区切る壁のこと
※1時間準耐火構造とは1時間崩壊せずに建ち続ける構造のこと
9.床の遮音構造
マンション・共同住宅:界床を厚さ15cm以上(RC造の場合)
10.維持管理基準
マンション・共同住宅:管理規約が定められていること。計画期間20年以上
耐久性や耐熱構造の基準
基礎の高さ
地面から基礎の上端まで、または地面から土台の下端までの高さは40cm以上
小屋裏換気
独立した小屋裏ごとに一定以上の面積で2ヶ所以上の換気孔を設けているか、または、屋根断熱工法
床下換気
床下換気については、次のいずれか
- 外壁の床下部分に壁の長さ4m以内ごとに面積300c㎡上の換気孔を設 けている
- ねこ土台の場合は、外壁の全周にわたって壁の長さ1m当たり面 積75c㎡以上の換気孔を設けている
- 所定の基礎断熱工法としている
床下防湿
厚さ0.1mm以上の防湿フィルムまたは厚さ6cm以上のコンクリートを床下に施工
木部の防腐・防蟻措置
外壁に通気層を設けたり、柱などに耐久性の高い樹種の製材または防腐・防蟻(一部地域は防腐)処理材を利用するなど
基礎内周部の地盤の防蟻措置
基礎の内側の地面は、防蟻に有効な処理を行うか、鉄筋コンクリート造のべた基礎等で覆う
浴室等の防水措置
浴室及び脱衣室の軸組と床組、浴室の天井は、防水上有効な仕上げ等
土台(土台を木造とする場合)
土台は耐久性の高い樹種または防腐・防蟻処理材を利用。 また、外壁の下端には水切りを設ける
換気設備の設置
住宅の炊事室、浴室、トイレには、換気設備または窓を設ける
配管設備の点検
配管を点検するための点検口を設ける
断熱構造とする部分、躯体の断熱性能等
住宅の天井(または屋根)、壁、床には所定の厚さの断熱材
フラット35:断熱等性能等級2相当の断熱材を使用
結露の発生を防止する対策
湿気を通しやすい断熱材を施工する場合は、防湿層を室内側に設ける
まとめ
素人では「技術基準」を見ても、購入する予定の物件が適合しているかどうかはわかりません。
そもそも、適合証明書がなければフラット35を利用することができませんので、購入予定の物件を取り扱っている不動産会社、ハウスメーカー、ディベロッパーなどに「適合証明書があるのか?」「フラット35は利用できるのか?」確認することが一番簡単な確認方法と言えます。
新築物件であれば、通常のフラット35は利用できる基準でつくられているはずですが、フラット35の利用を検討している方は購入前に確認しておく方が無難です。