「フラット35」の審査基準
- 詳細
- 親カテゴリ: 住宅ローンの基礎知識
- カテゴリ: フラット35
- 作者: 住宅ローン比較
- 参照数: 47112
「フラット35」の審査基準
住宅金融支援機構の融資、つまりフラット35審査は、以下に挙げる条件を満たせば、ほとんどのケースで審査が通ります。民間金融機関ほど住宅ローン審査で返済余力や信用力に重点を置いていないのです。
「フラット35」の審査基準
1.申込時年齢が満70歳未満(親子リレー返済の場合は、満70歳以上でも可)であること
※親子リレー返済とは、親から子に返済を引き継ぐローンの形態。二世帯住宅の購入・建設などで使わることが多いです。借入額を増やせる利点があります。
2.日本国籍または、永住許可権を持っている
3.年収に占める【フラット35】を含めたすべての借り入れの年間合計返済額の割合が、年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下
※【フラット35】のほか、そのほかの住宅口ーン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシングや商品の分割払いなど)を含みます。
※年収は、原則として、申し込み年度の前年の収入で審査されることになります。収入も給与所得だけでなく、不動産所得や事業所得、利子所得、配当所得などが合算されます。確定申告や源泉徴収票などの書類に記載された金額がベースになります。
例えば
年収400万円でローン返済額100万円の場合
返済負担率 = 100万円 / 400万円 = 25% → 基準クリア
年収300万円でローン返済額120万円の場合
返済負担率 = 120万円 / 300万円 = 40% → 基準アウト:審査落ち
4.借り入れ対象の住宅およびその敷地を共有する場合は、申し込んだ本人が共有持分を持つこと
5.購入する住宅が技術基準に合致していること
住宅の床面積が、以下の住宅
・ 一戸建て住宅、連続建て住宅、重ね建て住宅の場合:70㎡以上
・ 共同建ての住宅(マンションなど)の場合:30㎡以上
など
参考:フラット35は物件が「技術基準」をクリアしないと利用できない
「フラット35」審査と民間金融機関の住宅ローン審査の大きな違い
民間金融機関の住宅ローン審査の目的
民間の金融機関の場合は、住宅ローンという商品で利益を出すことが目的になります。慈善事業ではないのです。
ローン商品で利益を出すために重要なことは
融資したお金をきちんと回収すること = 貸し倒れ(デフォルト)をできるだけ発生させないこと
です。
そのためには、住宅ローン審査で「信用力の低い人」「返済余力がない人」を除外しなければならないのです。
そのため、民間金融機関の住宅ローン審査では
- 返済負担率が35%以下
- 完済時年齢が80歳未満
- 勤続年収が2年以上
- 年収400万円以上
- 過去に返済事故がない
- 直近2年間で返済遅延がない
- ・・・
など、様々な角度から貸し倒れ率を予測し、貸し倒れ率が高くなると想定される場合には審査を通さない形を取っているのです。
フラット35審査の目的
フラット35というのは住宅金融支援機構が投資家から集めたお金で運用する住宅ローンです。住宅金融支援機構というのは独立行政法人ですので、国の機関ということになります。
民間銀行ではリスクを取れない全期間固定型の住宅ローンを低金利で提供することで、低所得者の方でも安心して住宅ローンが借りられるように作られた機関とも言えます。
「利益重視ではない」というのが民間金融機関どの大きな違いです。
良くも悪くも、お役所仕事ですので、貸し倒れ率がどうこうということよりも、決められているルール(融資基準)に即しているかどうか?の方が重要なのです。
貸し倒れが増加して損をしても、投資家が損をするだけなのです。国の機関ですので、税金の投入もあるのです。
だからこそ、「技術基準に合致していること」の方が「貸し倒れをしないこと」よりも重視されてしまうのです。
結果として、フラット35審査は民間金融機関の住宅ローン審査とは基準が異なり、甘く設定されているという状態になっています。
実際にフラット35を販売している銀行も、自社の住宅ローン審査に通らない人にフラット35をすすめるのです。フラット35は買取型ですので、販売したら住宅金融支援機構が買い取ってくれるので、その後「貸し倒れが起きようが起きまいが」銀行には関係ないのです。
このような仕組みになっているため
- 民間金融機関の住宅ローン審査:貸し倒れを起こさないために審査をする
- フラット35審査:作られた基準をクリアしているかどうかを審査する
という大きな違いが生まれてしまっているのです。
フラット35の方が審査が甘い
という状況になっているのです。会計検査院の指摘などで、この状態を改善しようという動きが徐々に発生していますが、現状もそれほど変わっているわけではありません。
利用する側にとっては
民間金融機関の住宅ローン審査に落ちた方でも、フラット35審査なら通る可能性がある
という理解で良いでしょう。フラット35は金利も低金利ですので、十分に検討する価値のある住宅ローンなのです。