住宅ローン借り換え比較で重視すべきポイント
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- カテゴリ: 住宅ローン借り換え
- 作者: 住宅ローン比較
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住宅ローン借り換え比較で重視すべきポイント
住宅ローンの借り換え比較で重視すべきポイントというのはどこになるのでしょうか?今回は「住宅ローン借り換え比較で重視すべきポイント」について解説します。
新規借り入れ時と何が違うの?
住宅ローンの借り換えを検討している方というのは、最低でも一度は住宅ローンを比較検討して、実際に契約している方ですので
「えっ、新規借り入れ時の住宅ローンに比較検討したときと同じでしょ?自分でできそうなんだけど。借り換えで何か違うの?」
と思ってしまうかと思います。
しかし、よく考えてみていただければ
新規借り入れ時と、今とではあなたの状況も大きく変わってきているはずです。
- 家族構成が変わった。
- 日常の過ごし方が変わった。
- 年齢が変わった。
- 家族の年齢が変わった。
- 収入が変わった。
- ボーナス額が変わった。
- 会社が変わった。
- 貯金額が変わった。
- 入っている保険が変わった。
- 老後に対する考え方が変わった。
- ・・・
新規借り入れ時から5年、10年経過すれば大きな変化があるのは当然のことであり、変化がない人なんていないのです。
借りる側の環境が変わっているのですから、借りるべき住宅ローンを比較するポイントも変わってくるはずなのです。
住宅ローンに対して
- あの時、こういう視点で住宅ローンを選んでおけば良かった。
- なんだ、全然金利は低金利のままじゃん。
- 「メガバンク=安心・お得」じゃなかったかもしれない。
- 不動産屋の言うままに選んで失敗した。
と思う方もいるはずです。
これらを踏まえて「住宅ローン借り換え比較で重視すべきポイント」を解説していきます。
住宅ローン借り換え比較で重視すべきポイント
1.低金利であること
最大のポイントは、新規借り入れ時と同じですが「低金利であること」です。低金利でなければ、そもそも借り換えメリットがないからです。
低金利の住宅ローンを選ぶ必要があるのですが、さらに注意すべきポイントがあります。
現在借入中の住宅ローンと同じ金利タイプで低金利であること
です。
住宅ローンの金利タイプは
- 変動金利 → ベースの金利が低金利、ただし金利上昇リスクがある
- 全期間固定金利 → ベースの金利が高金利、ただし金利上昇リスクはない
- 当初固定金利 → ベースの金利は変動金利と全期間固定金利の中間。当初期間は金利上昇リスクがない、ただし当初期間終了後は金利が上昇する
という特徴があります。
- 変動金利 → 変動金利
- 全期間固定金利 → 全期間固定金利
- 当初固定金利 → 当初固定金利
であれば、金利タイプの特徴は、借り換え前と借り換え後で変化がありませんから、純粋に「借り換えメリットが十分かどうか?」だけで借り換え後の住宅ローンを比較することができます。
しかし、金利タイプを変更する場合には注意が必要です。
全期間固定金利 → 変動金利
ベースの金利が高い全期間固定金利から、ベースの金利が低い変動金利に借り換えれば、金利は00幅に低下するので借り換えメリットも数百万円出てくる可能性があります。
これは一見、大きなメリットですが、金利上昇リスクがない全期間固定金利のメリットも放棄することになってしまいます。借り換え後の金利が上昇すれば、「変動金利 > 全期間固定金利」という形で変動金利の金利の方が高くなる状況も起こりうるのです。こうなってしまうと、「借り換えしない方が総返済額が安かった。」となってしまうのです。
変動金利 → 全期間固定金利
金利上昇リスクがある変動金利を敬遠して、金利上昇リスクがない全期間固定金利へ借り換えるケースもあります。この場合は、ベースの金利が低い変動金利からベースの金利が高い全期間固定金利へ借り換えるので、借り換えメリットはない、もしくはマイナスになります。
この場合も、今後も今の低金利状態が継続した場合には「借り換えしない方が金利も低金利のままで総返済額が安かった。」となってしまうのです。
借り換えで金利タイプを変えるというのは「借り換えをしなければよかった。」となる可能性が出てきてしまうことに注意が必要なのです。
そのため、基本的には金利タイプは借り換えでは変更しない方が良いのです。
- 低金利の住宅ローンを重視する
のではなく
- 現在借入中の住宅ローンと同じ金利タイプで低金利である住宅ローンを重視する
必要があります。
借り換えで是が非でも金利タイプを変えたいという意図・目的があるのであれば、それも間違えではありません。
金利は保証料込の金利で比較する
金利は保証料込の金利で比較する必要があります。
- メガバンク、地方銀行 → 保証料 = 金利+0.2%
- ネット銀行 → 保証料 = 無料
ですので、ネット銀行の方が借り換えには向いている住宅ローンということになります。
借り換え専用のプランがある銀行の方が低金利の傾向がある
銀行によっては「借り換え専用のプラン」を用意しているところがあります。
すでに返済実績がある借り換えの方が新規借り入れよりも貸し倒れ率は低くなるため、銀行は借り換えの住宅ローンの方が金利を低く設定できるのです。
そのため、
- 「新規借り入れの方」と「借り換えの方」の区別がない銀行 → 借り換えの方が割を食っている
ことになってしまいます。
多くの場合は
- 借り換え専用プランの金利 < 新規借り入れプランの金利
で設定されているため、借り換え専用のプランがある銀行を選ぶべきということになります。
2.保障が充実していること
30歳で新規借り入れをした方が15年後に借り換えをする場合、その人の年齢は45歳です。
- 30歳の方が病気になるリスク < 45歳の方が病気になるリスク
です。また、病気への意識も、30歳のときとは違っているのではないでしょうか。
だからこそ、病気リスクを回避してくれる住宅ローンを重視すべきなのです。
病気リスクを回避してくれる住宅ローンというのは
- 疾病保障付団信無料付帯
- 介護付団信無料付帯
- がん団信無料付帯
などの住宅ローンです。
また、
- コントロール返済
(病気などになった時に一時的に返済を利息のみ(元本を休める)にコントロールできる返済方法のこと。だいたい5分の1ぐらうの返済額になる)
が付帯された住宅ローンも候補になります。
3.借り換えメリットが大きい住宅ローン
住宅ローンの借り換えでは諸費用が派生します。
- 事務手数料
- 司法書士報酬
- 登記関連費用
- ・・・
などです。
諸費用が安けば安いほど、借り換え時の初期費用は安く済むのですが、金利が高ければ意味がありません。
基本的に
- 諸費用が安い住宅ローンは金利が高い
- 諸費用が高い住宅ローンは金利が低い
のですから、一概に「諸費用の安さ」「金利の安さ」で選べるものではないのです。
このときに比較すべきものは「総返済額」であり、「借り換え時の諸費用負担も含めて、総返済額がいくら安くなるのか?」を示す「借り換えメリット」が非常に重要になるのです。
4.○○ポイントやお得系キャンペーン
銀行は借り換え利用者の方が貸し倒れリスクが低いので、借り換え者を呼び込むためのキャンペーンを積極的に展開しています。
キャンペーンには大きく分けて2種類あります。
- 「金利優遇キャンペーン」
- 「○○万円分のポイントキャンペーン」
ですが、金利優遇キャンペーンであれば、借り換え先の金利が優遇できるので、借り換えメリットも大きくなります。
「○○万円分のポイントキャンペーン」も、少額ですが借り換えメリットに加算して比較して良いものです。
注意しなければならないのはキャンペーンの「適用条件」です。
同じ金利優遇キャンペーンでも、その優遇期間が2ヵ月なのか?完済までなのか?は大きな違いです。
- 借入から2ヶ月の金利優遇だとしたら、そのお得度は数万円程度かも知れません。
- 完済までの金利優遇でしたら、そのお得度は数十万円になる可能性もあるのです。
金利優遇キャンペーンで、借り入れから2ヵ月のみの優遇なのにも関わらず、条件の確認を怠って、完済までの金利優遇で借り換えメリットを計算したとしたら、大きな計算ミスが発生してしまい、「借り換えメリットは実際はなかった。」なんてことにもなりかねないのです。
キャンペーンを比較条件に入れる場合には、キャンペーン適用条件、キャンペーン内容、キャンペーン適用期間を銀行公式サイトのキャンペーンページで確認することが必要です。
住宅ローン借り換え比較で重視すべきではないポイント
銀行の知名度
若いときは銀行の知名度で「大手のメガバンクが良い」と銀行を選んだ方も多いのではないでしょうか?
しかし、「お金を借りる」のに銀行の信頼性や知名度は全く不要なものです。
「お金を預金する」のであれば倒産するとお金が1000万円までしか戻ってこないのですから、メガバンクを重視するのは当然です。
しかし、「お金を借りる」のであれば銀行が倒産したとしても、借りた方へのダメージは全くありません。住宅ローンの借金がチャラになることはなく、倒産したとしても、他の銀行が買収して、債権を買い取る形になるので、別の銀行へ返済するだけのことです。借り入れ条件も変わりません。
つまり、借り換えでも、新規借り入れでも、銀行の知名度や信頼性で住宅ローンを比較する必要性は皆無なのです。
住宅ローン借り換え比較の手順
上記をふまえて、住宅ローンの借り換えをする時に、借り換え先を比較検討し、借り換え先に申込む上での手順を解説します。
1.「借り換えメリット」を算出する
一番重要なのは「借り換えによっていくらお得になるのか?」です。
これが借り換えメリットですが
借り換えメリット = 借り換え前の残存期間の総返済額 - 借り換え後の総返済額 + 借り換え時の諸費用
で計算できます。
2.「手間」をコスト換算する
住宅ローンの借り換えは、現在借入中の銀行に完済して、そのための資金として借り換え後の銀行と住宅ローンの新しい契約を結ぶものです。
つまり、手続きとしては新規借り入れ時とほぼ同じ手続きが発生するのです。
- 情報を集める
- 銀行に話をする
- 書類を集める
- 申込書を記入する
- 契約をする
- 登記を司法書士に依頼する
新規借り入れ時を思い出してもらえれば「かなりの時間や手間がかかり、面倒くさかった」かと思います。
これを再びやるのですから、「手間」もコストとして換算して、借り換えメリットから差し引くべきなのです。
手続きをする方(ご自身 or 配偶者)の時給換算 × 新規借り入れ時にかかった時間
が「手間コスト」です。
借り換えメリット - 手間コスト = 本当の借り換えメリット
となります。
3.付加価値を加味する
さらに本当の借り換えメリットに付加価値を追加します。
- 疾病保障付団信無料付帯
- 介護付団信無料付帯
- がん団信無料付帯
- コントロール返済
- ポイントキャンペーン
- 金利優遇キャンペーン(○か月限定の場合、完済までの優遇の場合は不要)
付加価値は人によって、評価が変わるものもあります。キャンペーンなどの金額換算しやすいものは借り換えメリットにプラスする、数値化できないものは覚えておいて、比較した後の最終判断で考量する形を取りましょう。
4.借り換え候補の住宅ローンを決定する
「一番借り換えメリットが大きい銀行」が基本的には最優先の借り換え先候補となります。
ただし、ここに前述した金額換算しにくい付加価値要素を含めて、最終的な判断をしましょう。
借り換えメリットが2番目でも、疾病保障無料付帯ならこちらの銀行が良い
というように判断します。
5.借り換え先の住宅ローンに申込む
借り換えの審査に落ちた場合の対応
借り換えの方が貸し倒れリスクが低くなるので、基本的には住宅ローン審査は通りやすくなります。
しかし、
- 著しくマイホームの資産価値が落ちている
- 現在借入中の住宅ローンで返済遅延などをしてしまった
- 転職によって勤続年数が短くなった
- 転職によって給料が減った
- 独立した
など、その人の信用力が落ちてしまっている場合には審査に通らない可能性も出てきます。
住宅ローンの借り換えの場合、新規借り入れとは違って、引き渡しのタイミングが決まっているわけではありません。
1ヶ月、2ヵ月遅れたところで、金利が急上昇するわけでもありませんから、審査に落ちたとしても、慌てずに次の候補の借り換え先を探せばよいのです。
借り換えメリットが十分に出る借り換え先がなくなってしまった場合は、借り換え自体を見送って、また借り換えメリットが出る状況になるまで待てば良いのです。
まとめ
住宅ローンの借り換えでは
- 同じ金利タイプでの低金利
- 借り換えメリット
- 病気リスクの軽減
- 借り換え諸費用の安さ
- キャンペーン
などが重要になりますが、実は借り換えのタイミングというのは「返済期間」「返済額」などを再度設定できるタイミングでもあります。
新規借り入れ時に作ったライプランなどを、今の家族構成や環境から再設計し、老後までの資金計画とともに見直せる絶好の機会となります。慌てる必要はありませんので「借り替える」ということだけを目的にするのではなく、「借り換え」と同時に将来のライフプランを再設計し、以前のものから最新版にアップデートするということも考慮して、大きな視点で借り換えを検討することをおすすめします。