住宅ローン金利動向 2018年6月レポート

住宅ローン金利動向 2018年6月レポート

住宅ローンの金利動向・金利推移をまとめた毎月のレポートです。住宅ローンを検討している方は参考にしていただければ幸いです。

主要住宅ローンの2018年5月から2018年6月の金利変動

• 10年もの国債金利（長期金利）は低下
• 10年以上の固定金利は微増
• メガバンクはそろって金利を0.005％引き上げ
• 住信SBIネット銀行が変動金利を引き下げ0.428％に
• イタリアの政局不安が表面化

10年もの国債金利（長期金利）は2018年4月27日時点で0.050％でしたが、2018年6月3日時点で0.030％と国債金利は0.020％低下しました。

国債金利は、買い手が多くなれば金利が低下します。日本国債が買われるときというのは「リスクオフ」つまり、世界の投資家が緊急避難をするときに行われるものです。

米中貿易戦争や北朝鮮リスクが低下したと思ったら、その矢先にイタリアの政局不安が表面化しました。イタリアでは3月の選挙で、第一党が過半数を取れず、連立政権の交渉が長引き政府の空白期間が続いていました。その上で、EU離脱派のポピュリズム政権が誕生しそうという状況下にあります。イギリスに続き、EU圏では第3位のイタリアもEUを離脱するということになれば、EUの信頼性が大きく失なわれしまい、ユーロも下落するという見方が強いのです。

ユーロが売られるとなると、また日本円や日本国債に投資家の目が向かいます。結果として、5月末にかけて国債金利が低下する形になったのです。

しかし、イタリアの政局不安が表面化したのは5月末ですから、5月中旬の国債金利が参考にされることの多い住宅ローンでは、金利がやや上昇に動いています。メガバンクが揃って金利を引き上げている状態です。

また、注視しなければならないのは「日銀がオペ減額を通知」しました。日銀が残存期間5年超10年以下のオペを減額したというのは、金融緩和の副作用が広がることに対する警戒感が日銀の中でも強くなっていることの証左と言えます。

簡単に言えば、住宅ローンの金利は、日銀が金融緩和（国債買い入れ）をし続けるから実現できているものであり、国債買い入れを停止すれば一気に金利は上昇してしまうのです。買い入れ額の減額は、そのアラートということになります。金利上昇の可能性は高まっていると考えるべきでしょう。

主要住宅ローン最新トピック

長期金利は低下

新発10年国債利回り（長期金利）は、2018年4月27日時点で0.050％でしたが、2018年6月4日時点で0.030％と国債金利は0.020％低下しました。米中貿易戦争のリスクが薄らいだ反面、イタリア・スペインの政局不安が表面化したからです。

ネット銀行の変動金利競争は抜きつ抜かれつの状況

毎月のように変動するネット銀行による変動金利の低金利競争はじぶん銀行と住信SBIネット銀行（SBIマネープラザ）がリードしています。借り換えで有利なのは、住信SBIネット銀行（SBIマネープラザ）、じぶん銀行ですが、新規借り入れで有利なのはソニー銀行という形です。4月はりそな銀行がさらに変動金利を引き下げました。6月は、それを受けて住信SBIネット銀行がさらに0.001％金利を下げた形になります。

1. SBIマネープラザ（借り換え）：0.428％
2. 住信SBIネット銀行（借り換え）：0.428％
3. りそな銀行（借り換え）：0.429％
4. ソニー銀行（頭金1割以上）：0.457％
5. SBIマネープラザ：0.477％
6. 住信SBIネット銀行：0.477％
7. イオン銀行（借り換え）：0.490％
8. じぶん銀行：0.497％
9. イオン銀行：0.570％
10. SBI新生銀行：0.600％

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メガバンクは揃って金利を引き上げ。1.35％台に入る銀行も

各銀行の当初10年固定金利（保証料0.2％込）

• 三菱ＵＦＪ銀行：1.350%
• 三井住友信託銀行：1.000%～1.300%
• 三井住友銀行：1.350%
• りそな銀行：0.900%
• みずほ銀行：1.000%～1.450%

メガバンクは、ネット銀行と比較して当初10年固定金利を打ち出していますが、長期金利の上昇に伴い、徐々に金利を引き上げています。大手都市銀行の中では、りそな銀行が一番低金利の当初10年固定金利を打ち出しています。

大手都市銀行が様々な住宅ローンプランを拡充

大手都市銀行が様々な低金利プランを投入しています。多いのは「借り換え専用プラン」「ネット申込専用プラン」「融資手数料型プラン」の3パターンです。大手都市銀行も、既存の商品設計だとネット銀行に顧客を奪われ続けてしまうため、ネット銀行が提供している住宅ローンプランに寄せてきた形になります。

• 三菱ＵＦＪ銀行　→　ネット専用［借替限定］住宅ローン：低金利の当初固定金利プラン
• りそな銀行　→　融資手数料型の住宅ローン
• 三井住友銀行　→　借り換え専用の固定金利プラン
• 三井住友信託銀行　→　融資手数料型の住宅ローン

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SBI新生銀行が金利が下がる固定金利を提供開始

SBI新生銀行は「ステップダウン金利タイプ」という金利タイプを提供しはじめました。

1. 10年後に金利が10％低下
2. 15年後に金利が20％低下
3. 20年後に金利が30％低下
4. 25年後に金利が40％低下
5. 30年後に金利が50％低下

と最大50％金利が低下する形になっています。どんどん金利が低下する長期の全期間固定金利という珍しい金利タイプを投入した背景には、SBI新生銀行の変動金利は他のネット銀行よりも、高金利で戦えないという事情が見え隠れします。顧客の受けが良ければ、ほかのネット銀行も、同様の金利タイプの投入に踏み切るでしょう。

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フラット35の制度変更

フラット35は、今までは「団信任意加入」「団信なし」を特徴として訴求してきた住宅ローンですが、今回の制度変更により「団信料込みの金利」が基本となりました。団信特約料が月々の返済額に織り込まれるということです。

ただし、団信への加入は必須ではなく、団信なしでも、金利が低いプランへの加入が可能ですので、それほど大きな変更ではありません。

同時に、フラット35Sの金利引き下げ幅が0.30％から0.25％に狭まっています。

4月新設住宅着工、前年同月対比0.3％増。10ヶ月ぶりの上昇

4月の新設住宅着工戸数は前年同月対比で0.3％増の8万4226戸を記録しました。「持家」が1.9％減、「分譲住宅」が5.0％増、「貸家」が2.1％減となっています。相続税対策の貸家建設は順調に増加していましたが、6月に20か月ぶりに減少に転じ、そのまま減少が続いている形になります。また、シェアハウスへの融資の問題なども社会問題化してしまっているため、地銀やメガバンクの融資姿勢もかなり慎重になっており、貸家も減少傾向にあります。ただし、その中で分譲マンションの大規模物件の着工のタイミングが一致し、全体としては増加しています。

4月のマンション価格、戸建て価格ともに低下

マンション価格が前月対比0.39％減の3,367万円。戸建て価格は前月対比5.82％減の3144万円という結果になりました。前年対比でみると、マンション価格は3.88％増、戸建ては5.49％減となっています。長期化する低金利の影響を受けて、昨年対比で見るとマンション価格の伸びが引き続き大きい状況です。一方で戸建て価格はそれほど価格変動はなく、マンションと同レベルの価格帯になっています。

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