住宅ローン金利動向 2018年8月レポート

住宅ローン金利動向 2018年8月レポート

住宅ローンの金利動向・金利推移をまとめた毎月のレポートです。住宅ローンを検討している方は参考にしていただければ幸いです。

主要住宅ローンの2018年7月から2018年8月の金利変動

• 10年もの国債金利（長期金利）は上昇
• 直近の10年もの国債金利（長期金利）は急上昇
• 固定金利は、大きな変動なし
• 日銀が金利誘導目標の引き上げを行う

 10年もの国債金利（長期金利）は2018年7月4日時点で0.020％でしたが、2018年8月1日時点で0.120％と国債金利は0.100％上昇しました。

これは、2018年7月31日に日銀の金融政策決定会合で、今までの誘導目標の許容範囲が±0.1％が、±0.2％に引き上げられました。実際の誘導目標は「10年金利ゼロ％程度」と変わっていないものの、「金利の上昇を日銀がある程度容認した」という点で、大きなニュースとなっています。

この背景にあるのは、日銀の国債保有シェアが40％を超えてきており、このままいけば年内には50％にも到達する勢いであること、国債の売買が成立しない日が7月末時点で2018年は7回も発生している（過去数年は最大2回）ことが要因になっています。日銀が国債を買いすぎて、国債が市場で売買できない状態を引き起こしているため、金融市場に大きな副作用を起こしていることを懸念しての日銀の発表となりました。

これは実質的に「国債買い入れ」という異次元の金融緩和が結果（物価上昇率2.0％）を出す前に、限界に達してしまったというのが市場の見方です。金利が上昇しても、今までのように日銀が介入してこないことを発表したため、急激に長期金利が上昇したのです。

執筆時点では、日銀はこの長期金利の急上昇を受けて、緊急的に「国債買い入れ」を行いました。これを受けて、一旦は10年もの国債金利（長期金利）は低下することが予想されます。しかし、日銀が弱気な姿勢を見せてしまったので、金利上昇は避けられないと考えます。

この10年もの国債金利（長期金利）の金利上昇が住宅ローン金利に影響するのは来月の金利です。金利上昇を懸念する方は、今月の早いうちに住宅ローンを選ぶことをおすすめします。

また、全体的に日銀が弱気な姿勢を見せてしまったので、今回は、誘導目標の許容範囲が±0.1％が、±0.2％に引き上げられただけですが、段階的にマイナス金利が終了したり、許容範囲がされに広がる可能性も出てきました。

中長期的な金利上昇の可能性が高まっているので変動金利だけではなく、固定金利を検討する必要が出てきています。

主要住宅ローン最新トピック

長期金利は急上昇

新発10年国債利回り（長期金利）は、2018年7月4日時点で0.020％でしたが、2018年8月1日時点で0.120％と国債金利は0.100％上昇しました。これは日銀が「金利の上昇をある程度許容する」という発表をしたことを受けての金利上昇です。

日銀の金融政策の変更

7月31日の金融政策決定会合で、日銀は「政策金利のフォワードガイダンス（政策金利の予告）」という手法を採用し、「2019年10月の消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利水準を維持することを想定する」としています。

ただし、実務的には、長期金利操作（イールドカーブ・コントロール）を「10年金利ゼロ％程度」で維持しつつも、誘導目標の許容範囲が±0.1％が、±0.2％に引き上げられました。ただし、国債買い入れの量は、年間約80兆円をめど変わっていません。

また、同時に日銀が買入をしているETF（上場投資信託）に関して、現在2.7兆円のTOPIX（東証株価指数）連動型分を4.2兆円に増額し、TOPIX、日経平均株価、JPX日経400の3つに分散して買い入れる部分を3兆円から1.5兆円に減額する方針を示しました。

ネット銀行の変動金利競争は抜きつ抜かれつの状況

毎月のように変動するネット銀行による変動金利の低金利競争はじぶん銀行と住信SBIネット銀行（SBIマネープラザ）がリードしています。借り換えで有利なのは、住信SBIネット銀行（SBIマネープラザ）、じぶん銀行ですが、新規借り入れで有利なのはソニー銀行という形です。4月はりそな銀行がさらに変動金利を引き下げました。6月は、それを受けて住信SBIネット銀行がさらに0.001％金利を下げた形になります。

1. SBIマネープラザ（借り換え）：0.428％
2. 住信SBIネット銀行（借り換え）：0.428％
3. りそな銀行（借り換え）：0.429％
4. ソニー銀行（頭金1割以上）：0.457％
5. SBIマネープラザ：0.477％
6. 住信SBIネット銀行：0.477％
7. イオン銀行（借り換え）：0.490％
8. じぶん銀行：0.497％
9. イオン銀行：0.570％
10. SBI新生銀行：0.600％

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メガバンクは揃って金利を引き上げ。1.35％台に入る銀行も

各銀行の当初10年固定金利（保証料0.2％込）

• 三菱ＵＦＪ銀行：1.350%
• 三井住友信託銀行：1.000%～1.300%
• 三井住友銀行：1.350%
• りそな銀行：0.950%
• みずほ銀行：1.050%～1.500%

メガバンクは、ネット銀行と比較して当初10年固定金利を打ち出していますが、長期金利の上昇に伴い、徐々に金利を引き上げています。大手都市銀行の中では、りそな銀行が一番低金利の当初10年固定金利を打ち出しています。

大手都市銀行が様々な住宅ローンプランを拡充

大手都市銀行が様々な低金利プランを投入しています。多いのは「借り換え専用プラン」「ネット申込専用プラン」「融資手数料型プラン」の3パターンです。大手都市銀行も、既存の商品設計だとネット銀行に顧客を奪われ続けてしまうため、ネット銀行が提供している住宅ローンプランに寄せてきた形になります。

• 三菱ＵＦＪ銀行　→　ネット専用［借替限定］住宅ローン：低金利の当初固定金利プラン
• りそな銀行　→　融資手数料型の住宅ローン
• 三井住友銀行　→　借り換え専用の固定金利プラン
• 三井住友信託銀行　→　融資手数料型の住宅ローン

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楽天銀行は楽天銀行（金利選択型）に全疾病保障を導入

楽天銀行は「楽天銀行（金利選択型）」に無料付帯されている「8疾病保障」を「全疾病保障」に保障範囲を拡大しました。

8疾病保障：ガン（悪性新生物）、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎
↓

全疾病保障：すべての病気やケガ※精神障害、妊娠・分娩・産じょく等、一部保障の対象とならない病気等があります。

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フラット35の制度変更

フラット35は、今までは「団信任意加入」「団信なし」を特徴として訴求してきた住宅ローンですが、今回の制度変更により「団信料込みの金利」が基本となりました。団信特約料が月々の返済額に織り込まれるということです。

ただし、団信への加入は必須ではなく、団信なしでも、金利が低いプランへの加入が可能ですので、それほど大きな変更ではありません。

同時に、フラット35Sの金利引き下げ幅が0.30％から0.25％に狭まっています。

6月新設住宅着工、前年同月対比7.1％減。3カ月ぶりの減少

6月の新設住宅着工戸数は前年同月対比で7.1％減の8万1275戸を記録しました。「持家」が3.4％減、「分譲住宅」が18.8％減、「貸家」が3.0％減となっています。相続税対策の貸家建設は順調に増加していましたが、6月に20か月ぶりに減少に転じ、そのまま減少が続いている形になります。また、シェアハウスへの融資の問題なども社会問題化してしまっているため、地銀やメガバンクの融資姿勢もかなり慎重になっており、貸家も減少傾向にあります。またその中で着工数を支えていた分譲マンションの大規模物件も、着工が減り、全体としては大幅減となっています。

5月のマンション価格、戸建て価格ともに低下

マンション価格が前月対比0.54％増の3,338万円。戸建て価格は前月対比1.61％減の3158万円という結果になりました。前年対比でみると、マンション価格は5.55％増、戸建ては4.14％減となっています。長期化する低金利の影響を受けて、昨年対比で見るとマンション価格の伸びが引き続き大きい状況です。一方で戸建て価格はそれほど価格変動はなく、マンションよりも安い価格帯となっています。

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