住宅ローン選びで不動産業者からの紹介は、金利や返済の意識が希薄なる危険性
- 詳細
- カテゴリ: 住宅ローン特集
- 作者: 住宅ローン比較
- 参照数: 2742
住宅ローン選びで不動産業者からの紹介は、金利や返済の意識が希薄なる危険性
住宅ローンを比較検討する際に「自分で選ぶ」というのがネット銀行の台頭から、以前に比べてかなり大きくなってきました。しかしながら、未だに住宅を選んでいた時の不動産会社、ハウスメーカー、知り合いの銀行員など、不動産業者からの紹介で住宅ローンを決めてしまっている方が相当数いるのです。
不動産業者は「弊社の付き合いで特別な優遇金利ですぐに審査も通りますよ。」と営業してくるため、どうしても不動産購入の時点で不動産業者に「じゃあ、お任せしますよ。」と言ってしまいがちですが、不動産業者の優遇金利よりも、ネット銀行の方が好条件なことがほとんどなのです。
参考:不動産屋から勧められる斡旋ローン(提携ローン)に騙されるな!
しかし、金利や返済額などの住宅ローンの条件だけでなく
「不動産業者から紹介で住宅ローンを決めてしまうと、その後の金利や毎月の返済額に対する意識が低くなってしまう。」
というデータが、オールアバウトとSBIモーゲージがおこなったアンケート調査から、明らかになっているのです。
「自分が借りている住宅ローンの金利がわからない」
「自分が毎月払っている返済額をだいたいでしか把握していない」
「変動金利がどういうものかいまいち理解できていない」
という意識が低くなってしまうというのは、今後の家計の状況、ライフプラン、将来設計に対して大きな影響を与えてしまう危険性があるのです。
とくに変動金利のような金利が上下するものに対する理解の薄さは、いざと言うときの対応ができない大きな問題を抱えてしまいます。住宅ローンは借換えによって大きなメリットがでるケースも往々にしてあるので「借りたら終わり」ではないのです。
データ1:住宅ローンについて自分で探した方と不動産業者からの紹介で借りた方比較
住宅ローンの借り方 | 人数(人) |
---|---|
自分で探した金融機関で借りた人 | 297人 |
不動産業者などから紹介された金融機関で借りた人 | 339人 |
出典:オールアバウト、SBIモーゲージ共同調査
調査時期:2014年8月1日(金)
有効回答数:636件
考察
約半数以上の方が不動産業者から紹介された金融機関で住宅ローンを組んでいる
半数以上の方が人任せに住宅ローンを選んでしまっているのがデータからも明らかになっています。
データ2:毎月の支払額・金利の認知
毎月の支払額の認知
探し方 | 1円単位まで把握 | 大体の金額まで把握 | なんとなくしかしらない | 知らない |
---|---|---|---|---|
自分で探した | 24.2% | 67.3% | 7.1% | 1.3% |
業者からの紹介 | 20.1% | 66.1% | 10.6% | 3.2% |
金利の認知
探し方 | 小数点以下まで把握 | 大体の数値まで把握 | なんとなくしかしらない | 知らない |
---|---|---|---|---|
自分で探した | 42.1% | 41.4% | 12.1% | 4.4% |
業者からの紹介 | 31.9% | 32.1% | 18.0% | 7.1% |
出典:オールアバウト、SBIモーゲージ共同調査
調査時期:2014年8月1日(金)
有効回答数:636件
考察
業者からの紹介はすべての数値で自分で探した方を下回っている
人任せに住宅ローンを選んでしまうと、当然のように
「今借りている住宅ローンの金利が何%なのか?」
「今借りている住宅ローンの返済額は毎月いくら返済しているのか?」
わからない方が多いという結果になっています。
「それの何が問題なの?」と思う方もいるかと思いますが
例えば、現状の住宅ローン金利を知っていれば、5年後のニュースなどで住宅ローン金利が○%にというニュースを見たときに「借り換えをすることで返済額が減るメリットがあるかも?」と借り換えを検討することもできるのですが、そこにアンテナがなければ、借り換えのチャンスがあったとしてもスルーしてしまうことになるのです。
また、毎月いくら住宅ローンを返済しているのか?を知らないというのは、家計の管理のなかでライフプラン(将来の家計の設計)ができていないことを意味します。毎月の家計を把握することが重要なのではなく、何十年という将来設計の家計の設計をすることが住宅購入時には必要なのです。住宅ローン、生命保険、学資保険、学費、年金、介護医療費などを踏まえて、収入と支出の関係を把握することが本来重要なことなのですが、業者に紹介してもらうということはこれを丸投げして放棄している方が多いということを意味しているのです。
データ3:住宅ローンの見直しに関する意識
探し方 | すでに借り換えを行った | 借り換えを検討中 | 検討したが見送った | とくに何も考えていない |
---|---|---|---|---|
自分で探した | 15.5% | 20.2% | 20.2% | 44.1% |
業者からの紹介 | 8.0% | 9.7% | 23.3% | 59.0% |
出典:オールアバウト、SBIモーゲージ共同調査
調査時期:2014年8月1日(金)
有効回答数:636件
考察
実際に借り換えをした人の割合(%)は倍も違う!
自分で探した方の15.5%の方は今回の消費増税(住宅ローン金利の低下)を期に実際に住宅ローンの借り換えを行っています。しかし、業者からの紹介で住宅ローンを組んだ方は、約半分の8%の方しか借り換えを行っていないのです。
住宅ローンの金利や毎月の返済額に対する意識がなければ、当然借り換えに対する意識もないため、絶好のチャンスを見逃してしまっていることがデータからも明らかになっているのです。
データ4:変動金利の仕組みに対する理解
探し方 | 今と変わらない | 優遇がなくなるため金利が上がる | 金利が上がる | 金利が下がる | あまり変わらない気がする | よくわからない | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
自分で探した | 34.7% | 15.5% | 18.5% | 1.7% | 18.9% | 4.0% | 6.7% |
業者からの紹介 | 32.7% | 6.5% | 17.1% | 2.1% | 25.4% | 9.4% | 6.8% |
出典:オールアバウト、SBIモーゲージ共同調査
調査時期:2014年8月1日(金)
有効回答数:636件
考察
「よくわらない」という回答が2倍以上の差に
金利が上昇するか、下降するのかは経済の評論家でも正確に予測することは難しい為、それが問題なのではありません。
優遇がなくなるかどうか?を理解している人の割合が
自分で探した方は15.5%なのに対して業者から紹介された人は6.5%よくわからないと回答した人の割合が
自分で探した方は4.0%なのに対して業者から紹介された人は9.4%
というのが大きな問題なのです。
ほぼ同じ人数にアンケートをしているため、当初固定などの優遇金利が適用されている割合はほぼ同じはずです。なのにもかかわらず、優遇金利がなくなるため金利が下がると回答した人が2倍以上違うのです。つまり、業者から紹介された人は自分が加入している住宅ローンの金利が期間限定の優遇金利か、そうでないかの理解がないということです。
さらに変動金利という金利タイプへの理解が少ないことも、「よくわからない」と回答した方が2倍以上いることからもわかります。
2015年1月現在で0.5%台の金利になっている変動金利をえらぶこと自体は決して間違えではありませんが、変動金利は景気が良くなれば金利も増えるものです。金利が増えれば毎月の返済額も増えるのです。
これを理解せずに変動金利を選んでいて「返済額が上がってから慌ててしまう」というのが最悪の状況なのです。変動金利のリスクを把握したうえで、現状の金利の低さを重視して変動金利を選んでいるのであれば、それに備えて繰り上げ返済や借り換え、金利タイプの変更などの手を事前に打つこともできるのです。
まとめ
結論としては
不動産業者からの紹介”だけ”で住宅ローンを選ぶのは辞めましょう。
です。
勘違いしていただきたくないのは、不動産業者が紹介してくる住宅ローンが絶対ダメと言っているのではないのです。本当に良い条件の住宅ローンもあるかもしれません。
不動産業者からの紹介された住宅ローンとネット銀行やメガバンクが提供している住宅ローンの条件を公平に比較し、自分で選ぶことが重要なのです。
選択肢から外す必要はありません。ただし、自分で選ぶ必要があるのです。
住宅ローンは3000万円ほどの人生最大の借金であることを今一度認識して、人任せにすることは避けることをおすすめします。