住宅ローン金利が史上最低に、消費税増税の影響とは?
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- 作者: 住宅ローン比較
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住宅ローン金利が史上最低に、消費税増税の影響とは?
2012/7/12 日本経済新聞
欧州の混乱が続き、金融マーケットは予想通り、思わしくない展開となっています。
一方、株式市場低迷の影響から国債が値上がり(=長期金利が低下)し、超低金利の状況も続いています。物事には光と陰があるもので、この結果、住宅ローンの金利が史上最低の水準となっています。
今回は、住宅ローンの最大・最後の借り換えチャンスがやってきたというテーマで、昨今の状況をお伝えします。借りている人はもちろん、実家など身近に住宅ローンを返済している人がいる場合は、教えてあげれば喜んでもらえると思いますよ。
■「フラット35」が最低値を更新
長期固定金利型の住宅ローンである「フラット35」の金利が、6月に過去最低水準を更新しました。7月の金利は今後の債券市場次第ですが、このままの状況が続けば2%割れも視野に入ってくるでしょう(※実際、7月の最低金利は1.94%となりました)。
この住宅ローンは、一定の基準を満たした住宅が対象ですが、借り換えで利用することもできます。そして、いまフラット35を借りている人も、返済から一年以上経過していて延滞などがない場合は、他の金融機関などを通してフラット35で借り換えることも可能です(ただし、当初一定期間の金利を引き下げる「フラット35S」は借り換えでの利用ができません)。
住宅ローンの借り換えに際しては、借り換え前後の実質金利の差が0.3%程度あれば効果があります。
固定金利から固定金利に借り換える場合には借り換え効果が確定しますので、
(1) 2004年12月~2005年10月に借りた人
(2) 2010年7月~11月に借りた人
(3) 2010年2月以降に、返済当初10年間の金利が1%引き下げられる「フラット35S」の適用を受けて借りた人
を除けば、いまフラット35を借りているほとんどの人にメリットがありそうです。
ただし、フラット35は「団体信用生命保険」の特約料(0.35%程度の金利負担に相当)や、金利が低いタイプの融資事務手数料(同0.15%に相当)など、実際には借り入れコストは高く、実質金利もその分高くなります。SBI新生銀行やソニー銀行、みずほ銀行など、フラット35より有利な条件で長期の固定金利型ローンを取り扱うところもありますので、全期間固定金利という安心感を得たい人は、しっかりと比べた上で借り換えを行いましょう。
固定金利型に限らず、民間住宅ローンの金利はすべて史上最低水準となっています。
変動金利型ローンは0.875%(保証料をプラスすると、1.075%)という水準が当たり前で、これより低い水準で貸し出す金融機関もあります。
変動金利型ローンでは金利上昇リスクが指摘されますが、これほど低い水準であれば、返済期間が25年程度までならほぼ問題はないと考えます。数年前に変動金利型を借りた人は、金利優遇が少なく、同じ変動金利型なのに1.5%~2%程度の金利が適用されていますので、他の金融機関で借り換えを行うべきです。
同じように、固定金利選択型ローンという当初一定期間の金利を固定にするタイプの住宅ローンを借りている人も、例えば「10年固定」の場合で1%前半など、金利水準が過去最低といえる状況になっていますので、借り換え効果は大きいでしょう。
消費税引き上げの影響は?
ところで、国会が風雲急を告げ、消費増税法案が衆議院本会議を通過、8月中旬にも成立する見通しです。これからマイホームを取得しようと考えている人にとっては、価格の上昇要因となりますので、早く買ったほうがよいか、迷う人も多いと思います。
住宅の場合、消費税は土地代にはかからず、建物部分にかかります。マンションでは、価格の7割~8割が建物部分というケースが多いでしょうが、仮に8割とすれば、5%の消費税率引き上げは4%の価格上昇となり、頭金を除いた住宅ローンの借入金額は現状より4~5%ほど多くなります。ざっくり計算すると、借入金額が1%増えても、金利が0.1%下がれば返済額は変わりません。
住宅ローン減税の拡大も議論されるでしょうが、年収が少ないと効果は期待できません。つまり消費税によって価格がどうなるかより、ローン金利の動向に注目すべきだということですね。
住宅ローン比較ラボ編集部コメント
消費税増税の影響は、住宅ローン金利に直すと、約0.4%ということだ。これは、小さいようで大きい数字。増税前に変動金利で借りれば0.875%だったものが、増税後は、1.275まであがるということである。これは、総返済額に直せば、150万ぐらいの増加につながるだろう、消費増税前の購入は検討すべきだろう。